失われる女性ホルモン あなたの選択を支える基礎知識
いざ自分に不調が起きたとき、治療手段があると知っていれば、あわてずに選ぶことができます。それがQOL(人生の質)を守ることにもつながります。
撮影・森山祐子 イラストレーション・マサキヒトミ 構成&文・越川典子
1. 閉経の定義
女性ホルモンは卵巣から分泌されるが、その活動が完全に休止した状態を指す。最終月経から1年たった段階ではじめて1年前を閉経とする。平均は51歳とされるが、40代で閉経する人がいる一方、50代後半で月経がある人もいて、個人差がとても大きい。
2. どんな検査をするか
問診で、月経の変化や本人の症状、既往症などを確認。血液検査では、肝機能や脂質、血糖などを調べるとともに、女性ホルモン値も測る。
E2(エストラジオール)の値が20pg/mL以下で、かつ卵胞刺激ホルモン(FSH=エストロゲン分泌を促すホルモン)の値が40 mIU/mL以上であれば、閉経の可能性が高いとされるが、その数値だけで決めることはなく、複合的に診断される。
自分の症状を事前にチェックして持参するのもよい。
3. HRTの禁忌・慎重投与
もともと体にある女性ホルモンを少量補充する治療がHRTだが、微増だが乳がんや血栓のリスクもある。糖尿病や腎臓病など生活習慣病があっても、投薬などでコントロールされていればHRTが可能。閉経後10年以上たった場合も慎重投与となる。
4. HRTのホルモン量
HRTで補充されるエストロゲンは少量で、低用量ピルの4分の1くらいの力価。女性は閉経するとエストロゲン値がほぼゼロになる。補充したとしても、男性がもつエストロゲン40〜50pg/mLと同等。補充するホルモン量は調整することができる。
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