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そもそも不定愁訴とは? どんな症状が多いの?

不調でも「どこも悪くありません」と医師に言われてよけいにつらい……そんな更年期に起こりやすい不定愁訴は、捉え方と対処法を知っておけば乗り切れます!
  • イラストレーション・松栄舞子 文・南雲つぐみ

1.そもそも不定愁訴とは、どのような状態のこと?

全身のだるさ、ホットフラッシュ、めまい、耳鳴り、胃もたれ、吐き気、動悸、不安感やイライラ、などなど。

「不定愁訴」は、こんな症状が体のあちこちに現れる。

「朝は調子がいいけど、夕方はつらい」とか「昨日は頭痛だったけど、今日は背中の張りがひどい」と、症状が日々入れ替わったりすることも。そこで、各診療科で胃カメラやX線、CT、心電図などの検査を受けても、異常が見つからない……。

「それが不定愁訴の特徴です。患者さんに『何が一番つらいですか?』と聞いても、いろいろな症状が日替わりで出現するため、自分でもうまく説明できないのです。
検査をしても結果に異常がないので診断名がつかず、正体がわからないことでよけいに不安が強くなり、それがまた症状に影響することもあります」と、東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子さん。

不定愁訴は、更年期障害とは違うものなのだろうか?

「重なるところも多いものの、不定愁訴は女性ホルモン(エストロゲン)の変化に由来していないものも含みます。そのため、まだ更年期とはいえない世代や更年期後の年齢でも起こることが」

たとえば、婦人科を受診し、「まだ更年期には入っていませんよ」と言われ、「では、なぜこの症状が起きているの?」と困ったら、不定愁訴と考えることができるのだという。

2.実際には、どんな症状に悩まされることが多い?

不定愁訴は、原因となる病気の診断がされないため、「気のせい」「考えすぎ」などと思われがち。

しかし、胃の不調から食べられなくなって痩せてしまったり、めまいなどが強く外出もできなくなる人も。不定愁訴で起こる症状が、実際にその人にとって生活を脅かすほど強い場合もある。

「不定愁訴は、基本的に自律神経のバランスの乱れによる症状、つまり自律神経失調症状です」

自律神経とは、心拍、呼吸、血流、血圧、消化、発汗、睡眠、排尿など内臓の働きや神経活動を調節する機能。

交感神経と副交感神経があり、2つがうまくバランスを取って働くことで、心拍から胃の調子、精神の安定まで全身の機能が整えられている。

このバランスが崩れると、胃腸病ではないのに胃の働きが悪くなったり、心臓に不具合がなくても心拍が上がって息苦しくなるなど、全身に症状が起きてしまう。

「女性ホルモンの揺れ動きも自律神経のバランスを乱す原因なので、更年期にも自律神経失調症状は多く起こります。同時に、ストレスや生活環境の変化、疲労の蓄積なども自律神経のバランスを乱す原因となります」

更年期は、女性ホルモンの減少が起こるとともに、気力・体力が落ちて疲れやすくなったり、忙しさでストレスがたまりがち。それらが重なり、不定愁訴も起こりやすくなる。

不定愁訴は決して「気のせい」などではなく、自分にあった対処法を見つければ、きちんと改善できるものなのである。

不定愁訴と 更年期症状の関係とは?

【共通の症状】
ホットフラッシュ、めまい、冷え、吐き気、喉のつまり、腰痛、イライラ、集中力の低下、寝つきが悪いなど主に自律神経の乱れによる全身のさまざまな痛みや不調。

【不定愁訴】
20代から70代までに見られる多様な症状で、エストロゲン減少に関係しないものも含まれる。

【更年期症状】
エストロゲン減少が関係する、骨量減少、皮膚や腟の乾燥症状、手のこわばりなど。

小川真里子

小川真里子 さん (おがわ・まりこ)

東京歯科大学市川総合病院 産婦人科准教授

福島県立医科大学卒業。慶應義塾大学産婦人科等を経て現職。日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医ほか。

『クロワッサン』1070号より

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