曲げて伸ばして健康寿命日本一 長野県が取り組む“ご当地体操”
撮影・小川朋央 文・松本あかね
『木曽の大桑ほこっと体操』
作詞・作曲 福富秀夫
(1番)
木曽の大桑
ととーん ととーん とととんとん
ヒノキのかおり 漂う村よ 大桑村
どんひゃら どんひゃら
まつりばやしだ
ぴいひゃら ぴいひゃら
はなざかり
夜半からの雨も上がり、幻想的な霧に包まれる山々を背景に『木曽の大桑ほこっと体操』が始まった。
祭り囃子に似た懐かしい曲調に合わせ、膝を上げて大きく踏み込む。足を開いて立ち、腰を落として左右に体重移動する。ゆったりと全身を動かし続けて4分あまり。腰を深く割るスクワットで最後の山場を迎え、曲が終わると、「はー、汗が出てきた」「膝をもっと上げなきゃだめね」「一人でやるより、皆で一緒にやると効くね」と一同沸き立った。
ここは長野県木曽郡大桑村。島崎藤村が小説『夜明け前』で、「木曾路はすべて山の中である」と記した旧中山道の宿場町。3000mに届きそうな山々の峰が連なる中央アルプスを臨む。
30代から80代の村民の皆さんが披露してくれたのは、この村で生まれたオリジナル体操。村の景色や風物詩を盛り込んだ歌詞、それと連動した動きが特徴で、みごと令和4年度、第15回「しあわせ信州ご当地体操ビデオコンテスト」で最優秀賞を受賞した。
「令和4年度末時点で、県下約7割の市町村にオリジナル体操があるのが確認されており、健康づくりの一環として、体操が盛んです。有志による実行委員会が開催したコンテスト形式での発表の場は、その素晴らしさを共有、活用していただく機会となっています」
と、長野県健康増進課の赤塩真奈美さんと塩原綾夏さん。
長野県といえば長寿県で知られるが、令和4年のデータで要介護度をもとに算出された「健康寿命」(算出は要介護度2未満を「自立して生活できる健康な状態」と定義)は、男女ともに全国1位。女性にいたっては7年連続でその地位を維持している。
長野県の場合、高齢者の就業率の高いことが特徴だというが、単に寿命の長さを問うのでなく、社会とつながりを持ち、生きがいを持って暮らしているかという生活の質を問う指標といえそうだ。
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