秋冬の注目コスメを総ざらい。美肌の源＂潤い＂をどう保つ？

酷暑の夏が過ぎ、秋を感じる間もなく突然訪れた冬の乾燥。肌を取り巻く環境は年々過酷に。急な肌変化に、何を選び、どうお手入れしたらいいのか。美容賢者3人が2024年のトレンドを読み解きながら、選ぶべき化粧品について本音を語り合った。

植村朗子さん（以下、植村）　スキンケアだけを見ると、今年は前半より後半のほうがスター製品のリニューアルがあったりと、動きが華やかで活発だった気がします。

倉田真由美さん（以下、倉田）　たしかにそうでしたね。

宇野ナミコさん（以下、宇野）　前半で目立ったのは洗顔やクレンジング。落とすカテゴリーは、ずば抜けて進化したシーズンだったと思います。

倉田　今年だけの話じゃないけれど、今やスキンケアはシミ、シワ、たるみで考えるのではなく、加齢によって健やかな営みができなくなっている肌内部の血管ネットワークや肌細胞コミュニケーションといった、肌全体の根本にきちんと働きかけましょうという動きに変わってきていますね。

植村　そういった効果を持つ、いわゆる名品美容液のリニューアルがたくさんあって、信頼コスメに何を選ぼうか久しぶりに悩みました。でもそれってユーザー視点からいえば、スキンケアをアップデートする大チャンスだと思いますよ。あとは倉田さんがおっしゃっていたように、基底膜や細胞に着目した根本ケアの製品が多く、悩み特化のものは少なくなってきましたね。

宇野　今年のキーワードのひとつがエピジェネティクス、いわゆる後天的な遺伝子発現に注目した製品。SHISEIDOのフューチャーソリューションやクラランスのダブル セーラム、ディオールもその観点でした。倉田さんや植村さんがおっしゃる根本ケアのカテゴリーだと思うんですが、遺伝子だけで肌は決まらない。その人の生活習慣や食生活によって、たとえ一卵性の双子でも、数年後には肌に差がつくという話は、スキンケアの発表会でよく耳にしました。エストの皮脂RNAモニタリング技術で、現在の肌悩みの根本的な原因や将来の肌老化のリスクがわかります。

年齢を重ねるごとに美しくあり続ける肌を目指すライン。和の植物由来成分や美白有効成分などを配合した薬用美白保湿液。まろやかに肌になじみ、肌を潤いで満たす。

不規則なライフスタイルがエイジングを加速させることに着目。27種の植物エキスをはじめとしたパワフルな成分が、肌に潤いを与え、ふっくら弾力のあるツヤ肌へと導くエイジングセラム。

肌悩みの原因に着目したエスト最高峰のエイジングケアライン。化粧水3タイプ、乳液3タイプを組み合わせることで、自分にぴったりなケアが可能に。

倉田　モニタリングを試した結果は、どうでしたか?

植村　私は角化タイプでした。

倉田　私も角化タイプ。

宇野　私は糖化タイプでした。甘いものが大好きなんで、これは結果とは関係ありませんが、全身が糖化しているのかと、自分を戒めました（笑）。

倉田　そんなに食べているの?　細い体なのにね（笑）。

宇野　食べてます（笑）。でも未来の肌に糖化や角化が起きるとか、美白が必要と教えてもらえるのは、自分のスキンケアの方向性が定まっていいのではないかしら。そしてフューチャーソリューションでは、肌がきれいに老けていく、美しく変化していく人がいるという研究があって、年齢を重ねた肌でも「何かできることがあるのかもしれない」と希望が持てました。アンチエイジング一辺倒だった化粧品の研究が、違う方向に進んだのを感じました。

倉田　長年スキンケアはターンオーバーを正常に正常にと言ってきたけど、むしろそのターンオーバーする細胞の量よりも質だよねという話。細胞そのものがいい状態でないと、きれいな肌になるわけもないから、やはり糖化や酸化に対して根本ケアをしっかり行おうという方向性。お手入れ次第で遺伝子の発現は変えられるとされています。

宇野　今年は本当に優秀な美容液が多いですね。

植村　前半は洗顔、クレンジング、そして優秀なUV製品が多かったけど、後半は本当に美容液でしたね。洗顔後の肌にダイレクトにつける、先行美容液も多かった気がします。

宇野　クレ・ド・ポー ボーテのル・セラムも、その先行美容液のひとつ。

植村　40代以降の肌には、ル・セラムが本当に心強い。さらに今年はほかにも継続しやすい価格帯のものも揃っています。

産地や抽出法にこだわりぬいた植物の恵みをブレンドした2つの複合成分を配合。お手入れの始めに使うと、すっと肌になじみ、潤いのバリアを整えるファーストステップ美容液。

倉田　その点では、エリクシールのザ セラムが優秀ですよね。

植村　たしかに価格面から考えると、ザ セラムは独自の高機能成分コアキシマイドとか、資生堂のオールスター成分や技術を、手頃な価格帯の化粧品に全部搭載させてくるところがすごいなあと感心しました。

倉田　資生堂の良心を感じる製品ですよね。そしてこれも基底膜に働きかける、根本ケアの美容液ですね。

宇野　ザ セラムはドラッグストアで買えるというのも、手に取りやすくていいですね。私の地元を含め、地方では近くに百貨店がないこともありますから。

21種の美容成分が配合され、独自の高機能成分コアキシマイドが肌内部で素早くリリースされる技術を搭載。ハリのある明るくなめらかな肌へと導く軽い感触の美容液。

倉田　同じくドラッグストアで買える花王のソフィーナ iPの保湿理論がすごく身に染みました。年々同じ美容液がイマイチ肌に効かなくなってきたなと思う方がいらっしゃると思うけど、40代以降の肌はただ保湿しても潤わないんです。それは肌内部のケラチン線維が硬くなっているから浸透しないんですね。だから老化で硬くなったケラチン線維をほぐしてから保湿するというアプローチと聞き、なるほどなあと。今年の後半に出たゴールデンタイムリペア深夜浸透クリームがまさにその理論に基づく製品なんだけど、昨年出た化粧水も好きでリピートしました。クリームも手が届きやすい価格だし、年齢肌にとても合った製品ですね。

宇野　あの価格、本当にうれしいですね。

倉田　筋肉もそうだけど、だんだん硬くなって肌内部がビーフジャーキーみたいになってしまうのかと想像すると、ちょっと怖いよね（笑）。

夜の乾燥ダメージに着目。眠っている間に角層まで潤いが浸透し、翌朝の肌の手触りが変わる。潤いに満ちたハリのあるツヤ肌へと導く、肌をベールのように覆うナイトクリーム。

植村　怖い。そしてファンケルのコアエフェクターも続けられるお値段です。

宇野　こちらも肌の根本ケアですね。

植村　キー成分は、チオレドキシンというタンパク質成分です。塗布5日後にエラスチン線維がニョキニョキ伸びた研究発表には、皆、驚きでした。

倉田　ファンケルの中ではお高めの価格設定ですが、それでも続けられる価格だから、本格的に根本ケアを考える人に寄り添う製品ですね。個人的に身につまされたのは、ロート製薬で聞いた“疲れた人は肌がたるむ”という話。実は今年ペットを亡くし、しばらく食欲と気持ちが落ち込んでしまったんです。鏡の中の自分を見て、数カ月で何歳も老けちゃったなと感じ、やはり現代人の美容にはストレスケアも欠かせないんだと実感しました。

宇野　大丈夫!　もう元どおりの倉田さんです。

倉田　ありがとう（笑）。

生体内に存在するタンパク質であるチオレドキシンの機能を最大化する独自技術と成分を配合。さらっと軽い美容液は、洗顔後の肌にすぐ使う先行型。使うたびに肌にハリや弾力を実感する。