なかなか改善しない「巻き肩」の根本原因は呼吸にあった!呼吸トレーニングとエクササイズ、マッサージで解消を。
撮影・青木和義 スタイリング・佐野友美 モデル・阿留奈 イラストレーション・山口正児 構成&文・中條裕子
巻き肩なら、ここを鍛える
(横隔膜)
呼吸の基本は横隔膜を上下させ、吸って吐くこと。別の補助筋肉を使って吸うクセがついていると本来の機能が発揮しにくい状態に。
胸をゆるめ肋骨を下げる深い呼吸で巻き肩は正しいポジションに。
人間は1日におよそ2万回の呼吸をしているという。無意識に行う呼吸の仕方が、慢性的な巻き肩の原因になっている場合がある、と大貫崇さん。
「胸の筋肉が前に引っ張られてくる、というのが巻き肩の原因としてよく言われています。それを解消するのにストレッチなどがすすめられますが、呼吸で胸の筋肉ががんばりすぎていると、いったん巻き肩が改善されてもいつの間にか元に戻ってしまうんです」
根本的に巻き肩を改善したいのであれば、呼吸する際に胸の筋肉を使わないようにすることが肝要。
人間は生まれたときは横隔膜を上下させて呼吸しているが、大人になるにつれ別の筋肉を使うクセがついてしまう人が多いという。それが胸筋であれば、巻き肩の原因になってしまうのである。では、横隔膜を動かす呼吸を身につけるにはどうしたらよいのだろうか。
「横隔膜の上げ下げは感覚としてわかりにくいもの。代わりに肋骨を下げる、というのが『きほんの呼吸(R)』です。肋骨を下げたまま息を吸うと圧力がかかり、巻き肩で内側にくぼんでいる胸のスペースに空気が入る。すると肩甲骨が後ろ側に。このような呼吸で、まず肋骨を下げ、次に巻き肩に対抗するエクササイズを取り入れるとよいでしょう」
呼吸の状態を知る。
胸とお腹に手を当てて、呼吸するときどこが動いているか確認を。両方が同時に動いている人は少なく、8割はお腹のみになりがち。おへそと胸の上にスマホなど重りを置くとわかりやすい。同時に、1分間に何回動くかもチェック。成人は12〜16回ほどが目安だが、できれば10回以下をめざすようにしたい。
呼吸をする際に胸とお腹が動いているかチェック。
NG
□ 胸に置いた手とお腹に置いた手の、床からの高さに違いはあるか?
□ 胸に置いた手の位置が床と比べて斜めになりすぎていないか?
□ 息を吸ったとき、胸だけ動いて喉元に近づいていないか?
□ 息を吸ったとき、お腹だけ動いてしまっていないか?
□ 胸とお腹、両方同時に動いても、どちらかだけ大きく動いていないか?
▼
全体に動きがないならSTEP1へ、胸とお腹どちらかが動かないならSTEP2へ。
「きほんの呼吸(R)」を 身につける。
胸とお腹が同時に動くか試してみて、動いていない、チグハグになっているなどを認知したら、次のSTEP1、2の呼吸にトライ。吸うときは口ではなく、鼻の奥を使うと横隔膜が動きやすくなる。そして、手を置く位置に気をつけながら、息を吸う、吐く、止める秒数を、1対3対1の割合を目標にして行うこと。
「きほんの呼吸(R)」にトライ してみよう!
STEP 1
「きほんの呼吸(R)」
お腹と胸をシンクロさせる準備をする。
(腹横筋)(内腹斜筋)
(1)膝を曲げた状態で胸とおへその位置に手を当てて、鼻の奥から軽く息を吸う。
(2)肋骨が上がっている状態から、胸とお腹の手が同じくらい床へ下がるよう、鼻から息を吐く。
(3)胸とお腹に置いた手が同時に同じ高さになるよう息を吸ったら、8~10秒ほどかけて吐き、3秒間息を止める。
(4)1~3を10回ほど繰り返す。息を吐いた際に全体にしぼんだ感じがしてきたら、腹横筋と内腹斜筋をきちんと使えていることに。これを意識すると、吸うとき胸とお腹が同時に膨らみ、吐くとき同時にしぼむようになる。また腹横筋と内腹斜筋を使うことができれば、吸うときに横隔膜が使えるので胸筋を使わなくて済むようになる。
【軽く息を吸って吐き、再び吸ったら8~10秒かけて吐き、3秒息を止める10回】
STEP 2
「きほんの呼吸(R)」
肋骨を下げて横隔膜をリラックスさせる。
(横隔膜)
(1)指を開いて肋骨全体を感じられるように、両手を肋骨に当てる。
(2)STEP1と同様、まず1回吸って吐き、再び吸って8~10秒ほどかけて息を吐く。次に息を吸ったらもう少し長めに10~12秒ほどかけて息を吐く。
(3)2の呼吸を10回ほど繰り返す。最初は胸とお腹に段差があったのが、肋骨が下がってお腹の境目がわからなくなるのが理想。
【軽く息を吸って吐き、再び吸ったら8~10秒かけて吐き、また吸って10~12秒で吐く10回】