お腹、足の引き締めや呼吸力アップを目指す、腹式呼吸のレッスン。
撮影・黒川ひろみ モデル・椎名由紀 スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・岡野紋美 文・山下孝子
呼吸に使う筋肉を腹式呼吸で調える。
肺は呼吸をするときに使う臓器ですが、実は自力で膨らむことができません。
息を吸うと肋間筋という胸の筋肉が縮んで肋骨を引っ張り上げ、胸とお腹を分ける横隔膜(筋肉の膜)が下がります。そのおかげで胸郭(肋骨の内側の空間)が広がり、肺に空気が入り込んで膨らむのです。そして、息を吐くときは肋間筋と横隔膜が逆に動くことで、胸郭が狭くなって肺から空気が押し出されます。
胸式呼吸は肋間筋の動きが、腹式呼吸は横隔膜の動きが大きい呼吸法で、これこそが腹式呼吸が健康によいとされるポイントです。
「横隔膜が上下に動くことで、その周囲にあるインナーマッスルや内臓を刺激し、内臓の働きや血行がよくなります。代謝機能がアップするので内臓脂肪も落ちやすくなるんですよ」
内臓を刺激することで便通もよくなります。実際、椎名さんも次のように教えてくれました。
「便秘薬が手放せない極度の便秘症だったのに、意識して腹式呼吸をするようになってから自然なお通じが来るようになった、と報告してくださるセミナーの受講生の方は少なくありません」
肥満が免疫力を低下させること、人間の免疫力の約7割を腸内細菌が担っていることを考えると、腹式呼吸を身につけて、同時流行が心配されている新型コロナとインフルエンザに備えるようにしましょう。
「腹式呼吸は細菌やウイルスが体内に侵入しづらい鼻で呼吸すると、より完璧になります」
ただし、年配の方、特に女性は加齢や運動不足のせいで便を押し出してくれる腹筋が衰えている方が多いため、ここで紹介するストレッチで腹筋を鍛え直し、腹式呼吸の効果を上げてあげましょう。
(基本のポーズ)
1.仰向けに寝る
(A)腰と床の間に隙間ができる
足は腰幅に開き、手は脇からこぶしひとつ分開けて床に置き、手のひらは必ず上に向ける。
2.へその位置を下げる
(A)腰と床の間の隙間をなくす
腰と床の隙間をなくすと仙骨が立ったのと同じ状態になり、腹式呼吸がしやすくなる。
(初心者向け)*普段まったく運動しない人向け
【1日の目安】左右5回ずつ
片足ずつ足を上げる
足を上げるときに胸部が浮くと腹式呼吸がしづらくなるため、意識して胸部を下げるようにしましょう。
(効かせるコツ)
足は無理のない高さでOK。息を吐きながら足を上げ、ゆっくり息を吸いながら足を下ろす。
(上級者向け)*普段から適度な運動をしている人向け
【1日の目安】5セット(1、2で1セット)
1.息を吐きながら両足を上げる
息を吐きながら、ひざ裏90度の高さまで両足を上げる。片足ずつよりも腹筋に大きな負荷がかかる。
2.息を吸いながらゆっくり足を下ろす
息を吸いながら、ゆっくりと足を下ろす。急いで下ろすと腹筋にかかる負荷が小さくなるので要注意。
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