休んでも疲れが抜けません……それって、もしや副腎疲労? 症状チェックと自分でできる対策。
忙しい女性なら誰もがケアすべきこの病気を、5つのコラムと対策で解明します。
イラストレーション・大石さちよ 構成&文・堀越和幸
[副腎疲労に対抗する、自分で始められる生活習慣を!]
(食事)バランスのいい食事を基本に、旬の食材を積極的に食べる。
栄養は、ビタミンCやB、マグネシウムを意識しながらバランスのいい食事で。ほかにも伊藤さんは、旬の食材を意識的に摂ってみるといいという。
「その季節に体に必要な食べ物はその季節に取れるもの、という昔ながらの考えはやはり理に適っているものです」
夏目前の今の季節なら、例えば空豆や枝豆がおすすめだ。
「良質なタンパク質は副腎で作られるホルモンの原料となります。さらには豆に含まれるセロトニンは自律神経を調節してくれる働きもあるので、積極的に食べるといいと思います」
旬の食材は手頃な価格なのも魅力だ。
(運動1)運動は気分転換程度のもので。 そして、ちょっとだけ頭を使う。
運動はストレスの軽減に有効だが、それをノルマにすると今度はそのことが逆にストレスになってしまう。
「激しい運動だとより疲れてしまうので、気晴らし程度に散歩するくらいの運動が副腎疲労の人にはいいでしょう」
その際に、伊藤さんが教えてくれたちょっとしたコツが“タスク歩行”という考え方だ。どんな歩き方か?
「例えば歩道の同じ色のブロックの上を歩くなど、あるルールを設けます。すると脳の前頭前野が活性化し、よりストレスを軽減してくれます」
タスク歩行は、電信柱の何本分の間だけ早歩きで歩くなど、どんなルールでもOK。自分なりに工夫してみよう。
(運動2)仕事で縮んだ筋肉を伸ばし、脳をリラックス状態にする。
ストレスがかかると緊張する抗重力筋をストレッチで伸ばしてあげることも、副腎疲労には有効だ。
「ストレッチをすると硬くなった筋肉が緩み、交感神経の興奮も緩んで、相対的に副交感神経が優位になります」
下に紹介した3つのストレッチは、ことデスクワークなどでガチガチになりやすい抗重力筋にアプローチする。
「パソコンに向かっている姿勢は常に抗重力筋を収縮させている状態になるので、ストレスを感じていると脳が錯覚します。そこで、この3つをゆっくり伸ばしてあげると、今度は逆に脳がリラックスしたと感じるわけです」
胸鎖乳突筋のストレッチで首伸ばし。
両手の掌を顎の下に当て、ゆっくり顎を押し上げる。顔が上に向いた状態で5秒キープ。
肩甲挙筋のストレッチで首・肩ほぐし。
片方の手の甲を腰の後ろに当て、反対側の手を頭のやや後ろにかけ、腕の重みを利用しながら斜め前方向にゆっくり首を倒す。首・肩の伸びを感じながら5秒キープ。反対側も行う。
大胸筋のストレッチで、縮こまった胸を開く。
壁の横に立ち、片方の手を肩の高さで壁につける。反対側の手は胸の上に。体を正面に向けた状態から、壁と反対の方向にゆっくりひねる。そのまま5秒キープ。反対側も行う。
(生活)疲れた脳と体を立て直す、ちょっとしたお約束をひとつ。
副腎疲労になると、生活に変化を求めるのが億劫になる。だるいから動くのも面倒。そんな状況に陥ったら、どう抜け出せばいいのか?
「日常生活のどんなことでもいいので、ある一つのことだけは必ずこの時間にやる、ということを決めるといいです」
例えばそれは、朝食の時間、お風呂に入る時間、就寝の時間……。
「一定のリズムの生活をすると脳の負担が少なくなります。すると体の負担も楽になる。それに例えば外の空気を吸うような五感を刺激する行為を加えればさらに効果があるはずです」
毎日6時半に起きて、ちょっとだけ外を歩いてみる。やってみよう。
(ツボ)腎臓や副腎を狙うツボで、滞った血流を改善させる。
副腎疲労にはツボ押しも効果がある。
「腎兪(じんゆ)というツボで腎臓と関係の深いツボです(下イラスト)。テニスボールを床に置きその上に仰向けになって寝て、腎兪を刺激してみてください」
腎兪を捉えたら、上半身を左右に10回程度ひねって、テニスボールをゴロゴロ。強さは、痛気持ちいい程度で。
「腎臓や副腎の血流が改善します」
『クロワッサン』1118号より