からだ

疲労、睡眠、ストレスが改善。コエンザイムQ10って一体なに?

仕事や家事がテキパキこなせない......。原因は蓄積した疲労やストレスにあるのかも。その解消に役立つ成分にいま注目が!
  • 文・井上健二

Q.疲労がなかなか取れない、疲れの原因ってなに?

夏から秋にかけては、残暑や気候の変動で疲れを感じやすくなる季節。でも、疲れを甘くみてはいけない。

「疲労は、痛み、発熱と並ぶ3大生体 アラートの一つ。背後に疲労関連の疾患が隠れていることもあります」と、 抗疲労の専門家で医師の中富康仁さん。
そもそも疲労とは、パフォーマンスの低下。疲れが溜まると、物忘れや仕事のミスが増える、コリや痛み、日中の眠気といった症状が出てくる。 そして大切なのは、疲労と“疲労感” を同一視しないこと。

「“疲労感”は、疲労を脳が自覚した感覚。きつい仕事をやり遂げた達成感が強かったり、大変な家事も自分なりに楽しめたりすると、脳が麻痺して、疲労があるのに“疲労感”を感じにくくなります。こうして3大アラートの疲労を無視すると、疲れが溜まって慢性化。休養や睡眠でなかなか回復しない深刻な状況に陥る危険があります」

【 疲れの蓄積の症状 】

■ 物忘れが多くなる
■ 仕事でのミスが増える
■ 文章が頭に入らない
■ つまずきやすくなる
■ 物を落としやすくなる
■ 肩こり、腰痛がひどくなる
■ 日中に眠気が出やすい
■ 目が疲れやすい
■ 寝ても症状が回復しない

Q.疲労解消の新常識、コエンザイムQ10って?

私たちには自然の回復力が備わる。
「この回復力を超えるダメージが加わると疲労が生じ、“キャパオーバーだから休みなさい”と知らせるのです」

その疲労を招くダメージの正体は?
「ヒトは、睡眠不足、ストレス、過労 などに置かれると、神経、筋肉、免疫などの細胞の活動が活発化します。そのエネルギーを、酸素を介して生み出すのが、細胞内のミトコンドリアという場所。ここでエネルギー生産が盛んになるほど、酸素から発生する有害な活性酸素が増えます。活性酸素による酸化で細胞や組織が傷つくと、細胞や組織の機能が落ち、疲労が起こり、パフォーマンスは落ちるのです」

このダメージを抑える物質として、中富さんが今年6月の日本疲労学会総会で発表して注目を浴びるのが、コエンザイムQ10 (以下、CoQ10)。
「CoQ10はミトコンドリア内のエネルギー産生を促すと同時に、還元型CoQ10が強力な抗酸化作用で疲労回復をアシストしてくれるのです」

参考:渡辺恭良、日本生物学的精神医学会誌、 24(4):200-210(2013)、図2

Q.疲労だけでなく、睡眠やストレス軽減にも役立つの?

困ったことに現代人が抱える悩みは、疲労だけではない。
なかでも、シニア世代以上に多い悩みには、眠りに何らかの障害を抱えている睡眠障害と、心身へのストレスがある。睡眠障害もストレスも、疲労を加速させるから、疲れと合わせてリセットしておきたいもの。睡眠障害やストレスをケアすると、疲労回復はより一層促されやすくなる。ありがたいことに、疲労のみならず、 睡眠障害やストレスと戦ううえでも、CoQ10は心強い味方になってくれる。 そのメカニズムをひもとこう。

「睡眠障害には、活性酸素による酸化にプラスして、体内で起こる慢性的な炎症が深く関わっていることが明らかになっています。還元型CoQ10には、 抗酸化作用に加えて抗炎症作用もあり、酸化と炎症をダブルで抑えて睡眠障害が緩和できるのです」

睡眠障害と同様に、ストレスでも酸化と炎症が負の連鎖を起こし、脳の機能が低下する恐れが指摘されている。
「還元型CoQ10は、脳内の酸化も炎症も抑えてくれるので、ストレスの蓄積が避けられるのです」

Q.コエンザイムQ の酸化型、還元型の違いは?

疲労回復で脚光を浴びるCoQ10を、もう少し掘り下げてみよう。 前述のように、疲労を招くダメージを直接受けるのは、細胞内でエネルギーを生み出しているミトコンドリア。 ミトコンドリア内で、CoQ10には大きく2つの働きがある。

「ひとつ目は、酸素を介してエネルギ ーを代謝する役割。ここで作られたエネルギーが、疲労回復に役立ちます。 もうひとつは、活性酸素による酸化の害から守ってくれる役割。後者を抗酸化作用と呼んでいるのです」

ひと口にCoQ10といっても、実は2タイプある。それが還元型CoQ10と、酸化型CoQ10だ。
エネルギー代謝に関しては、還元型も酸化型も同じように働いてくれる。 ところが、ミトコンドリアを活性酸素から守る抗酸化作用を発揮するのは、還元型CoQ10のみ。

「ダメージからの人体の回復力を高め、 疲労を軽減するには、還元型CoQ10が重要になってくるのです」

Q.どんな食べ物、サプリから摂れる?

振り返ると、CoQ10はかつてビタミンQと呼ばれていた歴史がある。ビタミンとは、カラダの機能を保つために不可欠なのに、体内で合成できない必須の栄養素。のちにCoQ10は体内でも作られるとわかり、ビタミンの仲間から外された経緯がある。ただし、体内で合成できるからといって安心するのはまだ早い。
「血液中のCoQ10の約25〜40%は食事由来とされていますから、食事から摂取しないと不足する恐れがあります。しかも、加齢とともに体内で作られるCoQ10量は減るため、食事から摂り入れる必要性は、年齢を重ねるごとに増してくるのです」

CoQ10は、牛肉や豚肉などの肉類、サバやイワシといった青魚など、動物性タンパク質が豊富な食材に多く含まれることがわかっている。
「こうした食材を、日々の食事で忘れずに取るのは大変。その場合、抗酸化作用に優れた還元型CoQ10のサプリ メントを利用するのもよいでしょう」

左から、
<くらしリズム メタグラボEX> 3粒あたり 還元型CoQ10 100mgのほか、グラボノイド300mg、ショウガ26mg配合。90粒 5,119円(ツルハグループマーチャンダイジング TEL:0120-283-017)

<わたしのチカラ ENERGY> 1粒に還元型CoQ10 100mg含有。機能性表示食品。30粒 3,800円(カネカユアヘルスケア TEL: 0120-438-910) 

<わたしのチカラ Q10ヨーグルト> 1個につき還元型CoQ10 100mgを配合したヨーグルト。機能性表示食品。90g 1個149 円。ドリンクタイプ100g 149円も。関東地区のファミリーマート、カネカオンラインショップで購入可。一部、取り扱いのない店舗もあり。(カネカ食品 TEL:03-5227-8530) 

<matsukiyo LAB 還元型コエンザイムQ10> 2粒あたり還元型CoQ10 100mg配合。機能性表示食品。40粒 1,706円(マツキヨココカラ&カンパニー TEL:0120-845-533)

中富康仁

お話を伺ったのは

中富康仁 さん (なかとみ やすひと)

ナカトミファティーグケアクリニック院長

京都 府立医科大学医学部卒業。大阪市立大学(現・大阪公立大学)疲労クリニカルセンターにて臨床研究を重ねる。日本疲労学会評議員。

『クロワッサン』1075号より

※8月10日発売クロワッサン本誌73ページ『一過性のストレス』のグラフの表記に間違いがありました。
正しくは上記に掲載したものです。お詫びして訂正します。

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