「そもそも毛穴は、肌の保護膜となる皮脂や汗を分泌する、大切な役割を担っています。
ところが年齢とともにキメが乱れ、ターンオーバーが遅くなり、弾力が低下すると、存在感が増して悩みの種に。
とりあえず目立つ毛穴をなんとかしたい、というのは、肥満に目を向けずウエストだけ細くしたい、と言っているようなもの。毛穴が気になり始めたら、肌の老化と向き合うタイミングと考えて」と、皮膚科専門医の佐治なぎささんは説明する。
若い頃とは違う大人の毛穴目立ち。その原因とは?
「毛穴のトラブルは大きく3つに分けられます。
まず、ぬるま湯のみで洗うなど、洗顔が不充分な人に多い黒ずみ。これは汚れだけでなく、分泌された古い皮脂が埃やマスクの繊維などを巻き込んで毛穴の入り口に溜まったもので、酸化すると皮膚のダメージにも。
毛穴の開きは、皮脂分泌の多い肌に見られますが、ベタつくのを嫌がって保湿を手抜きすると、乾燥した肌が、バリア機能を保つためにさらに皮脂を出そうとする悪循環を招きます」
一番やっかいなのが、涙形の毛穴。
「真皮のコラーゲンやエラスチンの質と量が低下して肌がゆるむと、たるみが発生。肌が下に引っ張られるので毛穴が小さな点から楕円形に」
では、有効な毛穴対策は?
「基本的なスキンケアを丁寧に行うことが大前提です。その日の汚れはその日のうちに、洗顔料でしっかり落とす。蒸しタオルで毛穴を開かせてケアをするのもおすすめ。
化粧水でたっぷり水分を与えてキメを整え、乳液やクリームなどの油分を補い、柔らかな肌をキープする。角層の水分値が高いと毛穴が目立ちにくくなるので、朝のパックやシートマスクも試す価値あり」
一方、開きやたるみ毛穴をスキンケアで根本改善するのは、かなり難しい。
「レチノール(ビタミンA)やピーリングによるターンオーバーの促進、過剰な皮脂分泌を抑え、抗酸化成分でもあるビタミンCは、一定の効果はありそうです。
最新のエイジングケアも取り入れながら、紫外線をしっかりカットし真皮のダメージを防ぐことでハリを保ちましょう。
また毛穴だけにフォーカスするのではなく、血糖値を上げやすい食事を控える、太ももなど大きな筋肉を鍛えて代謝を上げる、適切な睡眠時間を確保するなど、生活全体を見直すマクロな視点も大切です」
毛穴は必要な存在。消すのではなく、調子のいいハリ肌を育てて目立たなくする攻め方が成功の秘訣。