運動嫌いにもおすすめ、カラダを底上げする腹式呼吸の基本。
撮影・黒川ひろみ モデル・椎名由紀 スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・岡野紋美 文・山下孝子
【内臓を活性化させ代謝を上げる腹式呼吸のために姿勢をマスター。】
腹式呼吸で臓器がマッサージされる感覚。
椎名さん自身、16歳から約15年間、体調面、精神面、両面の不調に悩んできたといいます。
「毎日、頭痛、肩こり、関節痛。全身むくんでいて、病院に行っても原因がわかりませんでした」
31歳のとき、見かねた知人にすすめられたのが、腹式呼吸でした。
「最初は半信半疑でしたが、腹式呼吸をした日には、お通じがあり、しなかった日にはない。腹式呼吸を続けていると、横隔膜が上下することで、臓器の血流がよくなり、大腸や小腸がマッサージされるような感じがしてきて。そのうち、カラダがすっきりしてきました」
そして、いまも、ご覧のとおりの体型をキープ。
「お通じの話をしましたが、何万年も飢えと戦ってきた人類のカラダは、栄養を溜め込むように進化してきました。それは生き残りのための長所だといえます。
ところが、必要以上の栄養が摂取できるようになった現代では、その長所が『排泄力が弱い』という短所にもなっています。排泄力が弱ると、尿・便・汗といった老廃物が体内に残り続けてしまい、体調が悪くなりますね。
呼吸も同じです。私たちは、食べ物の栄養を呼吸で取り入れた酸素によってエネルギーにしています。そのときに二酸化炭素という老廃物が生まれます。息を吐く力が弱いと、二酸化炭素をしっかり排出できないのです」
ここでも息をしっかり吐くことができる、腹式呼吸の出番です。
「腹式呼吸の仕上げは姿勢です」
骨盤の中心にあり姿勢づくりに重要な役割を果たす仙骨がカギ。
「仙骨をまっすぐに立てましょう。すると下腹の筋肉がきゅっと締まるのが感じられるはずです。お腹が筒のようになり、そこに上体をふわっと乗せるようなイメージで姿勢をつくります」
姿勢を意識して、というと胸を張ってしまいがちですが、腹式呼吸の場合は禁物です。
「胸を開くと肋骨が傾き、首や肩の筋肉に力が入ります。うまく腹式呼吸ができなくなります」
[STEP1]足を腰幅に広げる
ひざを曲げて立つと足の裏が床にしっかり着く。そのままゆっくり伸びきる直前までひざを伸ばす。
[STEP2]仙骨の下方を前に押し入れる
このときに下腹部がキュッと締まる感じがすれば、腹横筋が締まって仙骨が立っていることになる。
[STEP3]肋骨の出っ張りを押す
胸が張りがちになるから、出っ張った肋骨=アンダーバストのラインに指を置き、下に押す。
[STEP4]胸の反りを正す
みぞおちが落ちることで仙骨と肋骨が立ち、胴が円柱に近づくため横隔膜が動きやすくなる。
(正しい立ち姿勢)
(1) 胸 肺がある場所のため、腹式呼吸で必ず動く部位。
(2) みぞおち 胸式呼吸に慣れていると、ここが硬くなります。
(3) 中腹 腹式呼吸で5の下腹部が膨らまないときに意識する部位
(4) へそ 胸式呼吸に慣れていると硬くなってしまう部位。
(5) 下腹部 呼吸を胸式から腹式に変えると一番膨らみづらい部位。
膨らむ部位を移動させる。
腹式呼吸の吸気のときに、1~5の順に膨らませる部位が移動するのをイメージしましょう。
『Dr.クロワッサン 感染症に負けない、カラダをつくる。』(2020年11月30日発行)より。