甘いもの・トースト・唐揚げに麺類、食べ過ぎはカラダを硬くする?
撮影・黒川ひろみ 文・石飛カノ イラストレーション・もとき理川、川野郁代
カラダの柔軟性を奪う食べ方をしてませんか?
朝食はこんがり焼いたトーストにカリカリベーコン、ランチは鶏の唐揚げ定食、おやつはクッキー、夕食は魚の照り焼き。
実はこれらの食事には、AGEという老化の原因となる成分が含まれています。
このAGEが発見されたのは20世紀初頭のこと。フランスの科学者がタンパク質と糖質を一緒に加熱すると褐色になることを発見しました。これは今、「メイラード反応」という名で知られている化学反応です。
トーストやホットケーキ、唐揚げなど、こんがりとおいしそうな食べ物の色は、メイラード反応によるもの。この反応によって作り出されるのがAGEです。
AGEの正式な日本語名称は「終末糖化産物」。文字通り、タンパク質と糖質の化学反応から最終的に生まれる物質ということ。
厄介なことに体内でAGEが増えると、カラダを構成するさまざまなタンパク質が劣化して、美容や健康を損なう症状を引き起こします。皮膚のタンパク質が劣化するとシミやシワ、血管なら動脈硬化、骨なら骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、脳ならアルツハイマーというように。
トーストや唐揚げを食べなければ大丈夫、というわけではありません。AGEは食品から摂ったものが単に蓄積されるだけではなく、体内の細胞にあるタンパク質と、摂り過ぎた糖質が反応して作り出されもするからです。これを「糖化」といいます。
これまで、老化の主な原因としては、活性酸素による「酸化」がよく知られていました。それと同等に「糖化」もまた老化や病気を引き起こす重大な原因物質ということがわかっています。
甘いものや揚げ物は適量を。食事選びでやわらかいカラダに。
さて、糖化のカラダへの影響は、カラダのやわらかさにも及びます。
AGEの害を受けやすいのは、タンパク質の中でもコラーゲンです。コラーゲンは線維状の組織で、肌に弾力性や柔軟性を与えるという大事な役割をもっています。基礎化粧品にコラーゲンが配合されているのは、そうした理由。
肌だけではありません。筋肉や腱、靭帯にもコラーゲンは含まれています。カラダのやわらかさはコラーゲンが正常な状態か否かに左右されるのです。
コラーゲンの線維同士は、「生理的架橋」というハシゴのようなものでつながっています。正常な状態で線維同士がつながっていれば、筋肉や腱は適切な弾力性を備え、みずみずしいやわらかさを保つことができます。
ところが、AGEがカラダの中で増えると、でたらめにコラーゲン同士をつなげてしまいます。こうなると、「生理的架橋」によって保たれていた弾力や柔軟性が失われてしまうのです。
年齢とともにカラダが硬くなった、という人は、もしかしたらカラダの中でAGEが悪さをしている可能性もあるわけです。
筋肉の構造とコラーゲンの変化。
(筋肉の構造)
筋肉はいくつもの細い筋肉の束で成り立っていて、それを包む膜や筋肉内にコラーゲンがある。
↓
●正常なコラーゲン
↓
●柔軟性を失ったコラーゲン
(コラーゲンの老化)
コラーゲンは生理的架橋でつながっているが、糖化によってその構造が崩れて硬くなる。
では、糖化の害を減らすにはどうすべき?
糖質そのものはカラダに必要な栄養素。問題は食べ過ぎることにあります。1日のエネルギー摂取量が1800キロカロリーだとして、おやつのクッキーやケーキでそれより200キロカロリー増したとします。使い切れずに余った糖質は血液の中をさまよい、タンパク質を糖化してAGEを発生させます。「そのひと口がAGEを招く」のです。
糖化を招きやすい砂糖や果糖など、吸収のいい糖質を摂りすぎることも控えたいもの。もちろん、こんがり焦げ目のついた炒め物や揚げ物にも要注意です。
毎日の食事の内容を選ぶこともまた、やわらかいカラダづくりのテクニックと考えてください。
『Dr.クロワッサン 何歳からでもカラダはやわらかくなる!』(2019年1月5日発行)より。
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