からだ

1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

  • 撮影・黒川ひろみ ヘアメイク・武田尚子(MÉLANGE) スタイリング・春原久子 文・石飛カノ

ストレッチの効果はいかに? 柔軟性を再度チェックしました。

床に座っての前屈、 指先ののびに変化が。

逆「ヒ」の字から、上半身が前に傾き、手の指で足の指を持てるようになりました!

75度しか開かなかった開脚は およそ120度開脚に。

床に座った姿勢がいかにも楽そう。開脚の角度も明らかに大きくなりました。

横から見た立ち姿勢。 骨盤の傾きが見事に修正。

骨盤が後ろに傾き、重心の位置も後方だった姿勢から、骨盤が立ち、重心が中心に移動しました。

1種目につき10秒×3セット。8種目トータル5分間のストレッチを終えた岸本さん。その成果を証明するため、再び柔軟性のチェックに挑みました。

まずは、逆「ヒ」の字だった床に座っての前屈。

「痛みを感じない範囲で、お腹を縮めるようにして少しずつ前屈してください」(坂詰さん)

ゆっくり前屈していくと、「親指のつま先を触れそう」と岸本さん。その言葉通り、手の指先が足のつま先、いやそれ以上、親指の付け根まで届きました!

続いて、開脚。

「あれ? なんだか座っている姿勢を保つのが、さっきより楽。とくに上半身が楽です」(岸本さん)

脚を開いたとき、どれだけ開くかということより、後ろに倒れそうになるかならないかの方がポイント、と坂詰さん。

「というのも、歩くにしろ走るにしろ人の動きは前後方向。そちらの動きを修正する方が大事だからです」

楽〜に座った姿勢で、開脚角度を見てみると、なんと約120度!

「夢の90度超え〜!」(岸本さん)

そして、あぐらのポーズは冒頭のページで紹介した通り。如来さまのような美しい座り姿に。

立ち姿を横から見てみると、重心が後ろに傾いた骨盤後傾姿勢から、ニュートラルな姿勢へと変化。

「びっくりしました! これ〝やらせ〟に思われないですか? 大丈夫ですか?」と、岸本さんご本人も驚きの結果。

こうした変化が表れたのは、2本脚で歩く人が本来もっている、骨盤の角度と背骨のカーブを取り戻すことができたから。

「生まれつき、自分は〝硬い人〟だと諦めていたんですが、そうじゃないということが実感できました」

カラダが硬いから、と諦めて骨盤の後傾や膝が曲がった状態を放置しておくと、50代以降、関節の変形がどんどん進んでしまうことも。諦めずにストレッチでケアしていくことが、とても重要。

効果は即効、失われるのも即効。だから毎日続けることが大切。

ただし、大事な注意点がひとつ。

「ストレッチはその場ですぐに効果が出ますが、元の状態に戻るのも早いんです。なので、体操選手やダンサーは、毎日入念なストレッチで柔軟性を保っています」(坂詰さん)

結果が出たからそれで終わり、ではなく、毎日続けていくことが肝心。坂詰さんいわく、

「トレーニングやダイエットはどうしても苦行をして短期間で効果を出すというスポーツ的な発想になりがち。でもストレッチのようなフィットネスは、無理なくずっと続けて行っていくことが大事。朝の洗面の前後、執筆の合間に、と日常生活に取り入れていくことがポイントです」

「毎日の習慣にします!」(岸本さん)

岸本さん、次にお会いするときにぜひ、また前屈を見せてください!

その後、どうですか?

【間違った姿勢が、動きを妨げるストッパーになっていたんですね。】

膝が立ってフラフラしていたあぐらのポーズが、ストレッチであっという間に脚が開き、安定したあぐらのポーズへと変わった岸本さん。その体験から約1カ月。改めて気づいたこと、日常生活での変化について話を聞きました。

「私の場合、間違った姿勢が癖になって、動きを妨げるストッパーができてしまっていたんですね。そのためにカラダが硬くなってしまっていた。そう気づけたことが一番の収穫でした」

そのストッパーが、岸本さんの場合、「骨盤の後傾」だったのです。

本人は、ずっと〝良い姿勢〟ができていると思っていたというのですが。

「骨盤が後傾していたとは……。でも、坂詰さんの指摘でそのストッパーを解除すればいい、ということがわかりました」

ずっと骨盤の後傾が癖になっていたから、骨盤を前傾させようと意識するくらいがちょうどいいのだそうです。

スポーツジムに通っていて、最近、自分の動きの変化に気づきました。

「スクワットが楽にできるようになったと思います。スクワットって膝がつま先よりも前に出ないようにカラダを沈めますが、骨盤を前傾させるようにすると、無理なくできるような気がします」

岸本さんは、家事や執筆で上半身に力が入りやすい自覚があり、首・肩・背中はまめにほぐしていますが、そこに骨盤の後傾を矯正することが加わりました。

「カラダがやわらかいとは、前屈で手がペタッと床に着くということではなく、日常動作が楽になること、生活の質が上がることなのかな、と思います」

【カラダをやわらかくする目的は、日常生活を楽にするためだと思います。】

坂詰真二

監修

坂詰真二 さん (さかづめ・しんじ)

スポーツ&サイエンス代表

1966年生まれ。横浜市立大学文理学部卒。アスリートへの指導のほか、各年代に応じた筋トレやストレッチなどをさまざまな媒体で紹介。

岸本葉子

岸本葉子 さん (きしもと・ようこ)

エッセイスト

食や暮らし、旅、俳句などを題材にしたエッセイで同世代の女性の支持を得る。2014年からジムで運動をスタート。

『Dr.クロワッサン 何歳からでもカラダはやわらかくなる!』(2019年1月5日発行)より。

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