からだ

感情豊かに過ごし、ワーキングメモリを鍛える【疲れないコツ】

無駄にストレスをためないためにも、 いい意味で〝力を抜く〞ことは大切です。 ラクになるコツを東京 疲労・睡眠クリニックの梶本修身さんに聞きました。
  • イラストレーション・松元まり子 文・佐野由佳、小沢緑子

〝疲労対策の鍵〟ワーキングメモリとは?

私たちが「疲れた」と感じるのは、脳が疲労しているから。疲労に強い脳をつくる方法のひとつに「ワーキングメモリ」を鍛えることがあります。

ワーキングメモリとは、リアルタイムでインプットされる情報(短期記憶)を受け入れ、過去の記憶や経験(長期記憶)と結びつけて、複数のことを考えたり行ったりする脳の働きのこと。

たとえば、私たちは車を運転するとき、周囲の状況を見ながら、目的地への最適なルートを判断し、ときには同乗者と会話もしながらハンドルやアクセルの操作を行います。

この一連の動きを支配しているのがワーキングメモリです。ワーキングメモリの機能が高いほど、認知、運動、記憶など複数の脳神経細胞を駆使して、効率よく作業ができるように。

脳の特定の部位だけを集中して使うと疲労が蓄積されますが、ワーキングメモリを強化することで注意の分配が可能となり、結果的に脳が疲れにくくなると考えられているのです。

日々を感情豊かに過ごして疲れない脳に。

ワーキングメモリは、毎日の習慣で鍛えられます。

手軽にできるのが、あらゆることを感情と結びつけて記憶すること。人は何かを記憶するとき、情報に関連するキーワード、つまりタグをつけて記憶し、そのタグをもとに、それぞれの記憶を必要に応じて活用しています。

このとき、膨大な記憶から必要なものをいかにすばやく選び出せるかは、記憶する際のタグのつけ方次第。

タグが多く、喜怒哀楽が伴うほど、記憶を引き出しやすくなるため、日頃から身の回りの出来事を、「楽しい」「驚き」などの感情でタグ付けしていけば、記憶の引き出し力が上がり、ワーキングメモリがパワーアップするというわけ。

臨機応変に記憶が引き出せれば会話上手になり、コミュニケーションからさらにワーキングメモリは鍛えられます。

要するに、趣味を楽しんだり人と食事をしたり、感情豊かに日々を過ごすことで、ワーキングメモリが自然と強化され、ひいては脳疲労を抑えることにもつながっていくのです。

梶本修身

監修

梶本修身 さん (かじもと・おさみ)

東京疲労・睡眠クリニック院長

1962年生まれ。医学博士。2016年、「一人でも多くの疲労に悩む人を救いたい」と、東京疲労・睡眠クリニックを開院。穏やかな物腰と的確な診察が信頼を集めている。著者多数。

『Dr.クロワッサン 新装版 疲れないコツ』(2019年7月29日発行)より。

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