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骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

骨折してからでは手遅れです。
そうなる前に検査を受けたい。
自治体の検査や人間ドックで一度自分の骨を調べてみて!

文・吉田真帆 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・松元まり子

【骨密度検査を受けて骨折リスクを知る!】簡易検査なら整形外科、必要ならしっかり受診を。

自覚がなくても一度骨密度検査を受けてみるのが骨折を防ぐ最善の策。骨密度は簡易な超音波法から、確定診断の下せるDXA(デキサ)法まで各種ありますが、まずは自治体や医療機関で検査を受けてみましょう。自分の骨の状態を知るきっかけになります。

ただし、正確な診断は設備のある施設でないと受けられません。心配なら、かかりつけ医に相談するか、人間ドックのオプションなどを活用することをおすすめします。

FOSTA指標などでチェックしてみるのも意識改革につながります。

<主な骨の検査>

●いちばん簡単なQUS法(超音波法)
超音波を足のかかとの骨に当てて骨の質を評価する検査法。手軽で安心なので広く行われているけれど、骨密度自体を測っていないので、診断には用いることができない。自治体の検診などもこの方法が多い。

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

●気軽に受けられるMD法(両手のX線撮影)
手のひらをアルミ板にのせ、左手の甲の骨密度を測定する検査法。ある程度進行した骨粗しょう症を見つけることができるが、早期では発見しにくいデメリットも。X線撮影ができる病院なら受けられるのがメリット。

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

●最も正確なDXA(デキサ)法撮影
現在行われる骨密度検査では最も信頼性が高い検査。2種類の微量なX線を照射し、背骨や大腿骨を通過できなかったX線の量から骨密度を測る方法。診断はもちろん、骨折の危険性や治療効果の判定もできるが、機器のある施設でなくては受けられない。

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

●自己診断ができるFOSTA指標
骨粗しょう症になりやすいかどうかが簡単にわかるのが、FOSTA指標。アジア8カ国での女性を対象にした調査で、女性の骨量が年齢と体重に関係するということから作られた計算式。

FOSTA指標=体重(kg)−年齢(歳)×0.2

高リスク:FOSTA指標がマイナス4未満
中リスク:FOSTA指標がマイナス4〜マイナス1
低リスク:FOSTA指標がマイナス1を超える

※あくまで指標で自分の危険度を知るための目安です。高リスクだから骨粗しょう症になる、低リスクだから骨粗しょう症にならないというものではない。

●自治体の骨粗しょう症検診
全国の6割程度の自治体では骨粗しょう症検診を無料か、わずかな費用で受けられる。お知らせがきたら受けるのをおすすめ。ただし、簡易検査がほとんどなので、大まかな指標がわかるだけで診断にはならないこともある。この検査で数値が低かったら、医療機関を受診し、より精密な検査を受けるといい。

【骨粗しょう症と言われたらきちんと対策を】予備群なら生活改善。診断されたら治療を受ける。

検査を受けて「骨密度低め」と診断されたら、食生活の改善と運動での対策を始めましょう。骨は生まれ変わるので、早期なら生活の改善で好転させることができます。

ただし、偏った知識で自己流に行うのはNG。カルシウムは大切な栄養素ですが、骨力アップの対策はそれだけでありません。運動も骨力を上げるだけでなく、骨折しないように鍛えるなど、きちんとした知識に基づいて取り組むことが重要です。

また、骨粗しょう症や予備群と診断されたら、医師の指示に従います。最近では治療を受けることで正常値まで回復することも望めるようになりました。サプリメントなどに頼らず、きちんと治療を受けるのが最善の策です。

骨粗しょう症では、不適切な運動が骨折につながることもあるので、エクササイズについても医師と相談を。

<骨密度を上げる4つの対策>

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

(1)骨に軽い刺激を
骨吸収と骨形成がバランスよく行われるには、まず破骨細胞による骨吸収を促すこと。骨に刺激を与えることでゆるやかに骨を破壊して血液中に吸収させると、体は「骨が壊れたから、新しく作るべし」という指令を出し、新しい骨が作られる。かかとへの刺激は体重を効率よく使え、どこでも行えるのでおすすめ。

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

(2)骨にいい食事を
骨を作る栄養素をしっかり摂取して、骨の材料をきちんと供給することが重要。いくら骨刺激をして、体が骨吸収&骨代謝を促進しようとしても、材料がなければいい骨は作れない。必要な栄養素を知り、簡単レシピで毎日実践して!

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

(3)転倒骨折しない体づくりを
骨粗しょう症かもと言われたら、骨折のリスクが目の前にあるということ。骨を丈夫にすると同時に、骨折しないことも重要な課題。骨折の原因の大半は転倒。転ばない体づくりが折れない体づくり。体を支える筋力、とっさのときに対応する柔軟性、そもそも転ばないためのバランス力をつければ、骨を守ることができる。

骨密度検査の受け方と骨密度を上げる4つの対策。

(4)診断されたらきちんと治療を
もし骨粗しょう症だと診断されたら、医師の指示に従って治療を行うことが大切。多くの場合、状態に合わせた適切な治療で骨密度を回復することができる。栄養や運動だけで骨粗しょう症は治りません。むやみに治療を敬遠するのはNG。この段階で運動を行うのは危険なことも。

  • 太田博明

    お話を伺ったのは

    太田博明 さん (おおた・ひろあき)

    婦人科医

    山王メディカルセンター 女性医療センター医師。日本抗加齢学会監事、日本骨粗鬆症学会元理事長、日本女性医学学会元理事・監事。専門は女性医療、骨粗鬆症、アンチエイジング医学。近著に『筋肉は若返る! ―尿もれ・骨折・フレイルは防げる! 治せる!』(さくら舎)。

『Dr.クロワッサン 何歳からでも骨は強くなる』(2020年3月28日発行)より。※プロフィールは掲載時点の情報です。

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