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女性ホルモン補充療法(HRT)をすると、また月経が始まってしまいますか。【88歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

産婦人科医師の野末悦子さんに教わります。
  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. 女性ホルモン補充療法(HRT)をすると、また月経が始まってしまいますか。

いつも野末先生の連載を読んでいます。閉経して半年ですが、40代に比べ、肩こり、背中のこわばりがひどくなり、仕事にも支障が出てきています。HRTを始めたいと思っているのですが、悩んでおり……。経験者の友人に聞いたところ、HRTをすると、再び月経がきてしまうとか。ようやく面倒がなくなって、すっきりしているのに、また……と思うと、婦人科に行くのに二の足を踏んでいます。(F・Yさん 53歳 会社員)

A.副反応のひとつが出血。でも、出血を起こさせない補充方法もあります。

F・Yさん、連載を読んでくださって、ありがとうございます。更年期障害の根本治療であるHRTのことを一人でも多くの方に、正しく知っていただきたくて、毎回、お手紙を書いている気持ちでいます。

さて、ご質問です。毎月の月経から解放され、すっきりしたお気持ちはよくわかります。そんなF・Yさんには、月経を起こさせない補充方法もあることをお伝えしますね。

更年期症状は、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」が減少することで引き起こされます。HRTは、その女性ホルモンを補充するという治療です。ご存じのように、エストロゲンは子宮内膜を厚くさせる働きがあります。厚くなる一方だとどうなるか。子宮体がんのリスクが上がってしまいます。そこで、一定期間、黄体ホルモンを服用することで、内膜をはがして外に出し(消退出血)、体がんのリスクを減らさなければなりません。人工的に月経を起こさせているわけですね。

その方法が、下図にある「周期的投与法」です。黄体ホルモンを飲み終えてしばらくすると出血します。

HRTにはいろいろな方法がある

黄体ホルモンの投与終了後から、出血が起きる。始めたばかりは、不正出血がある場合も。2〜3カ月するとおさまっていくことが多い。

でも月経は不便だという方もいらっしゃいます。その場合は、「持続併用投与法」といって、エストロゲンと黄体ホルモンを同時に使う方法をとると、子宮内膜が厚くなりにくいため、消退出血が起きにくい。起きても、ほんの少量のことが多いです。エストロゲンと黄体ホルモンの合剤を使うこともあります。貼付タイプで2〜3日に1回貼りかえればよいというものです。

「エストロゲン単独投与法」が可能なのは、子宮を手術でとってしまった人の場合です。子宮があっても、エストロゲンを少量だけ補充するケースもありますが、その使い分けは経験豊富な医師のもとで行います。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

エストロゲンと黄体ホルモンを併用。最初の数カ月は不正出血が起こりやすい。が、半年から1年くらいで出血は見られなくなる。

エストロゲンのみ投与する方法で、子宮を手術などで切除した人が対象。出血は起きない。黄体ホルモンを飲む必要はない。

参考:『ホルモン補充療法(HRT)がよくわかるQ&Aハンドブック2019』(NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会)より作成

経験豊富な医師と相談の上、補充法を選ぼう。(Dr.野末)

野末悦子

野末悦子 さん (のずえ・えつこ)

産婦人科医師

横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、久地診療所初代所長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などを歴任。

『クロワッサン』1036号より

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