漢方では、体の状態が舌に表れると考えられている。舌の形、色、舌の苔(舌苔(ぜったい))の色や厚みなどから、体の状態を推測する。
橋本さんのアドバイスで、大田垣さんが自分の舌をチェック。色はかなり赤く、やや紫がかってもいる。舌苔が左側に偏っていて右側ははがれていた。
「苔が多いのは、漢方では体内に余分な湿気、言い換えれば、老廃物が溜まって、それが疲れ、だるさをもたらしていると解釈できます。苔がはがれているのは逆に必要な潤いが足りていない状態です」(橋本さん)
最近、大田垣さんは右目の疲れが激しく、それも右側の舌苔のはがれが示唆しているという。
中国では古来、季節を春夏秋冬土用に分け、人間の体も各季節に関係する五臓から成るとしている。それが、肝、心、脾、肺、腎の五臓だ。
「これは西洋医学の臓器とは違い、体の状態を表していると思ってください。たとえば、肝は血流や自律神経、目の働きを司るとされています。その肝の働きが弱っていても、強すぎても不調が出やすくなります。漢方では、五臓の働きに過不足がない状態が理想です」(橋本さん)
大田垣さんから聞いた体調と、舌の状態から、橋本さんは、大田垣さんの肝が弱っているのではないかと推測した。