からだ

“ゆるゆる漢方家”による、湿気を体にためこまない土用の養生。

薬をのむほどじゃないけど、なんとなく調子が悪い。そんな季節の不調が毎日の暮らし方と食材だけで改善します。
毎日、店頭で健康相談を行い、漢方の理論をやさしく伝える“ゆるゆる漢方家”櫻井大典さんに聞きました。
  • 文・土田由佳 イラストレーション・浜野ふみ子

土用の養生

軽い運動や入浴で発汗し、利水作用のある食材をとって湿気を体にためこまない。

冷たいものを絶対にとらない!

土用というと「土用丑の日」で知られる夏土用が思い浮かびますが、本来は立春(2月4日頃)、立夏(5月6日頃)、立秋(8月8日頃)、立冬(11月7日頃)の前18日間のこと。四季の変わり目にあり、季節をゆるやかに交代させる役目を担っています。

この時期は、気温が変わりやすく、大気も不安定で、体調を崩しやすいもの。特に「脾(胃や消化器官)」がもっとも疲れやすいときです。まずは徹底的に冷たいものを排除することからスタートしましょう。そして、朝食はとにかくなんでもいいので、温かくて消化のよいものを食べることです。

土用に疲れやすい脾を補うのが甘味の食材です。米やかぼちゃ、さつまいもなどホクホクして、かんでいるとじんわりと甘くなるものを積極的に食べましょう。

利水作用のある食材で湿気を外へ。

脾は湿気に弱いため、体内に湿気をためこまないようにすることも重要です。

そのためには発汗すること。軽く運動して汗をかいてください。入浴して汗をかくなど何でもいいです。

そして、利水作用がある食材をとって湿気を体外へ出しましょう。きゅうりやすいかなどの瓜類がおすすめです。ただ、瓜類は利水作用と同時に体を冷やすものや潤いを補給する作用があるものも多いので注意してください。冷え性の人は火を通したり、しょうがやねぎなど体を温める食材と合わせて食べましょう。

余分な湿気を追い払うには「芳香化湿」という、いい香りで体の湿気を発散させる作用をもった食材もおすすめです。しそ、しょうが、パクチー、フェンネルなどがこれにあたります。なんにでもしそを入れるなんていうのもいいと思います。しそ入り緑茶なんていうのもおすすめです。

ただし、注意してもらいたいのがしょうがです。体を温めて発汗を促しますが、肌に炎症がある場合や、イライラが強い、熱がこもっているときに食べると悪化することもあります。そのときの体調に合わせてください。

また、味が濃くてネバネバしたものや柑橘類をたくさんとるのも避けたほうがいいです。

とうもろこしで体内の湿気を追い払う。

体や頭が重くてだるくなるのは、体内に余分な湿気がたまっている証拠です。漢方では、多すぎる湿気は体に害をもたらし、健康を損ねるものになるとして注意を促しています。

普段から湿気をためない食生活が大切です。とうもろこしは水分代謝を活発にするので、だるいときにぜひとりたい食材です。利尿作用もあり、消化不良や食欲不振を解消する働きもあります。

皮ごと水洗いして、そのままレンジに入れて5〜6分。皮がラップがわりになるので、皮つきのままレンチンでOKです。これなら体がだるいときでもできそうですよね。

疲れやすくてなかなか疲れがとれない場合は、エネルギーが不足しています。牛肉や鶏肉などの肉類やえび、うなぎは、食べるとすみやかにエネルギーを充実させる働きがあります。

【頭痛】湿気を取り除く小豆汁を飲んで、休息。

漢方において頭痛は、外的要因と内的要因の2つがあると考えます。

外的要因は自然界に吹く風。強い北風にあたって帰宅すると、頭がひどく痛くなった経験がある人もいるのではないでしょうか。それは風による冷えからくる頭痛です。

ほかに、熱によるもの、湿気によるものもあり、土用の季節に起きる頭痛は、湿気が大きな要因と考えられます。湿気をためこまないために、利尿作用のあるものをとるようにしましょう。

小豆は利尿作用が高く、不要物を排出させる食材。「小豆汁」にしてとりましょう。小豆50gを軽く水で洗い、鍋に水1リットルと一緒に入れて強火にかけます。煮立ったら弱火にして15〜20分煮るだけ。1回150mlくらいを1日2回飲むのがおすすめです。保存は冷蔵庫で2日ほど。

内的要因は過労やストレス。しっかり睡眠をとって休息することが肝心です。

【くよくよする】寝るのに限る!10分でも早く寝ること。

土用は胃腸をケアしないといけない季節です。くよくよと思い悩むと、胃腸を弱らせることになるので、考え込むのはやめましょう。

しんどいと思うときは、早く寝るのに限ります。1時間でも10分でも早く寝ましょう。寝ている間に脳は記憶の整理をし、いやな記憶を消し、必要な記憶を固定し、体は問題箇所を修復しています。

くよくよ考え込まないためには、普段からさっぱりしたもの、熱のこもらない食事をとるようにしましょう。そして、物事に執着しすぎたりしないで、心をやわらかく、穏やかに保つことが大切です。

「〜しなきゃいけない」「〜だからしょうがない」などの口癖は、精神的な負担になります。「〜したい!」「〜する!」と言ったほうが心に健康的です。できないことを思い悩むより、できることを一つずつ増やすことを考えるほうが健全です。

櫻井大典

お話を伺ったのは

櫻井大典 さん (さくらい・だいすけ)

ゆるゆる漢方家

「成城漢方たまり」 で健康相談を行っている。アメリカの大学で心理学を学び、帰国。国際中医専門員。『食べる漢方』(マガジンハウス)監修、主な著書に『まいにち漢方食材帖』(ナツメ社)など。

『Dr.クロワッサン 不調が消える、ふだん漢方』(2020年1月28日発行)より。

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