伊藤まさこさんの「がんばらない」漢方生活。
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
くよくよしない、しっかり眠る、 旬のものをおいしくいただく。
あれ? 昔のように体重が戻らない。
食いしんぼうの伊藤まさこさんが漢方に興味をもったきっかけは、自分の体の変化に気づいたことでした。
伊藤さんの「がんばらない」漢方生活を見せてもらいました。
旬のものをいただく。食養生は朝の食卓から。
夜が明けてキッチンに差し込む朝日が映し出すのは、立ち昇る料理の湯気。何気なく繰り返される日常の光景に、伊藤まさこさんの心は気持ちよくたゆたっている。
「20歳になる娘と2人暮らしですが、朝しか一緒にごはんを食べられないんです。だから、娘の健康のためにも朝食はしっかりと食べさせたい。体が目覚めて、気持ちよく一日のスタートが切れる滋味豊かなものを作りたい。チャチャッと簡単にできるものばかりですが、旬のもので体を養う感じですね」
娘の健康を気づかう母の願いが込められた朝食。欠かさないのは、昆布とかつお節でだしを引いた味噌汁と炊き立てのごはん、そして四季折々の野菜のおかず。
「今朝のメインは豚ばら肉と豆もやしとキムチのお味噌汁。具沢山でにぎやかなお味噌汁って一日の始まりが贅沢な感じになるし、これだけでじゅうぶんお腹が満たされます。発酵食の味噌とキムチは整腸作用があるから、食べることで胃腸も整えられるんです」
お米は新潟の農家から年に4回、玄米を送ってもらい、精米してそのつど鍋で炊く。
「炊き立てのごはんがごちそう。食べたもので体は作られ、体が守られ、体を整えられますよね。食養生は命の基本だと思います」
【伊藤さんの冬の献立】
1. 柿のデザート
「実家のお隣さんの庭で実った柿をいただいたんです。熟しているのでヘタを蓋のように切って、スプーンでそのまま食べられます」
2. 長芋のステーキ
厚めに切った長芋をごま油でソテーし、最後にしょうゆをタラッと。秋から冬へ。季節の変わり目は肺をいたわる白い食べ物を。
3. 豚ばらと豆もやしとキムチの味噌汁
だし汁に味噌を入れ、ごま油で焼いた豚ばら肉とゆでた豆もやし、キムチを加える。脂のコクと発酵食の旨みで奥行きのある味に。
4. 切り干し大根の和えもの
水に戻した切り干し大根をぎゅっと絞り、炒ったじゃこを加え、酢と塩、しょうゆをほんのちょっと。炊かなくていいので簡単に作れる。
5. 春菊のサラダ
洗って水気を切った春菊をザク切りにし、ごま油としょうゆと酢を混ぜ合わせたドレッシングをかける。新鮮なら生で味わいたい。
6. 雑穀ごはん
「お米が大好き。白米もいいけれど、乾煎りした黒豆やアワやヒエなど、雑穀を混ぜてよく炊きます。もっちりしておいしいんですよ」