4つの生活ルールを守って、自律神経のバランスを整える。
文・韮澤恵理 イラスト・安ケ平正哉
腸と自律神経は相互に影響し合う関係です。ここまでは、腸の整え方を中心に紹介してきました。自律神経をさらにバランスよくするためには、生活のリズムと心のもち方に注意することも大切です。
理想は日の出る頃に起き、日没後は徐々に副交感神経を優位にし、起床の7時間前に就寝する生活です。体のサイクルは24時間で、昼と夜で交感神経と副交感神経が切り替わってバランスをとっています。
しかし、世の中は24時間活動し、遅くまで仕事をしていたり、深夜までテレビを見たり、さらに寝るまでスマホから離れられないという人も少なくありません。実はこれが急速に自律神経のアンバランスを招いています。
夜はよい睡眠の準備タイムとして、心も体も穏やかにゆるめていくことが大切。就寝直前まで仕事や激しい運動をするのはもちろん、日中の悩みを引きずっていたり、スマホを見続けるのは禁物。交感神経が高まったままでは、深い眠りが得られないからです。
生活パターンを見直して、習慣になっている日課の順番を入れ替えるだけでも効果が上がる場合もあります。また、副交感神経を優位にするために役立つ習慣もあります。ここでは自律神経を整えるために守りたいこと、実行したいことを紹介します。生活リズムを整えるためにも役立ててください。
[質の良い睡眠を]
●同じ時間に就寝。
●7時間眠る。
●深い眠りを得る。
●睡眠中に体を休める。
健康を保つためには、質のよい睡眠が重要。睡眠中は細胞の再生やメンテナンスが行われます。就寝後すぐの深い眠りは体の再生スイッチをオンにします。
そのためには、毎日同じ時間に寝ることが最も重要です。睡眠のために、体は何時間も前からさまざまな準備をするからです。
また、深い眠りと浅い眠りが交互に訪れるのがよい睡眠で、きちんと体のリセットをするには約7時間が必要。不規則な短時間睡眠を続けていると、体の再生が十分できず、次第に不調が出てきます。
質のよい眠りのためには、副交感神経を優位にし、心地よく眠れる環境にも配慮しましょう。
[ゆるめる入浴を]
●寝る1時間前までに。
●夜の入浴はぬるめの湯。
●お風呂の中でリラックス。
●湯上がりに水とストレッチ。
現代人の生活は交感神経優位になりがちなので、夜になったら、徐々に副交感神経が優位な状態にシフトすることが大切。そのために効果的なのが入浴です。湯船につかることでリラックスし、体の表面温度が上がって深部体温が下がるので、眠りを誘う効果もあります。湯上がり後1~2時間で眠くなるので、寝る直前ではなく、少し前にお風呂に入るのがいい。
38~40度のぬるめの湯にのんびりつかりましょう。熱い湯は交感神経を刺激し、逆に目が冴えてしまうので要注意です。湯上がりに水を飲んで水分補給し、軽いストレッチなどをして、体をほぐすと、眠りやすくなります。
[生活にリズムを]
●同じ時間に起きる。
●食事の間隔を守る。
●ブルーライトから離れる。
●地球に合わせて暮らす。
体は、昼夜のサイクルに合わせ、交感神経と副交感神経を交互に優位にし、活動と休息を切り替えています。これを担っているのが時計遺伝子で、切り替えの指令を出して体内時計を整えてくれるので、自律神経も自然にスイッチします。昼夜の切り替えがうまくいかないと、朝、ぼんやりしてしまい、夜は眠れないということに。
毎日同じ時間に起きて朝日を浴びる、朝食を食べるといった習慣で交感神経のスイッチを入れましょう。食事の間隔を守ることで昼間のリズムをつくり、夜になったら脳を刺激するスマホのブルーライトから離れて交感神経の活動を抑えるという心がけも大切です。
[メンタルリセット]
●頭の中を空っぽにする。
●呼吸で気持ちをコントロール。
●手書きの日記をつける。
●片づけをする。
人は、焦ったり、驚いたり、人間関係を負担に感じると、自律神経が乱れます。解決のポイントは、思考のリセットと神経の高ぶりを抑え、余裕をもつことです。
いらいらや焦りには瞑想やマインドフルネスで脳の中を空っぽにするのがおすすめです。ゆっくり深呼吸をするだけでも、高ぶった神経を鎮められます。
日常ではできるだけゆっくり、無理をしないことを意識します。寝る前に3行でもいいので日記を手書きするのもおすすめ。自分を見直すと悩みが解消しやすくなり、自律神経が整います。部屋やバッグの中を片づけると、頭の整理もできるのでこれも試してみて。
『Dr.クロワッサン 名医が教える腸ストレッチで、自律神経はよみがえる。」(2019年1月15日発行)より。
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