マインドフルネス→瞑想にチャレンジして脳をクリアに。
撮影・青木和義 イラストレーション・鈴木衣津子 文・黒田 創
「マインドフルネスから一歩進んで、少し長い時間の瞑想を行うと脳はさらにクリアになります。挑戦してみてください」(綿本さん)
瞑想の鍵は姿勢だ。そう聞くと床に座り、ややこしい脚の組み方で行う“蓮華坐”(下写真)をイメージするが、必ずしもそれで行う必要はない。あぐら(下右写真)でも充分に瞑想はできる。
「大事なのは骨盤の角度です。これが悪いと瞑想に入れません。後傾すると眠くなりますし、そのまま姿勢を保とうとするとどこかに力が入り、現実世界と戦う感じになり呼吸に集中できません。逆に前傾しすぎると反り腰になり、これまた力みが入ります」
まずは骨盤をまっすぐ起こし、本来の位置に戻すことを意識する。すると自然と背すじも伸び、連動して呼吸もスムーズに。そうすることで瞑想に入りやすくなる。私たちには、身体と心が連動するメカニズムが備わっている。
「姿勢が定まったら、呼吸や尻が接している床の存在、周囲の音など、今自分が感じていることに意識を向けてみましょう。そして、その感じていることに、たとえば鳥の声なら、鳥、鳥、と心の中で言葉に置き換えてみる。これはラベリングと呼ばれるテクニックで、心を落ち着け、瞑想を深めてくれます」
手は楽な位置でOK。下腹部で呼吸を感じ、尻と床の接点を感じ、耳をすまして周囲の音を感じる。この時間が脳をクリアにしてくれる。
【前から見ると…】
蓮華座は下半身が安定する。難しければ楽に脚を組めるあぐらでも問題ない。
うまく姿勢を作るためのバランス調整術。
姿勢を作ったら上半身を左右にゆっくり動かして重心を移動させ、意識を体内に向けつつ余計な力が抜ける「心地よい」ポイントを探る。そのポジションで呼吸を行えば瞑想が深まっていく。
骨盤と背骨の位置が瞑想に深く関係する。
骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まったまま瞑想を行っても集中はなかなか深まらない。それどころか眠気まで起こってしまう。
一見良い姿勢に見えるが、骨盤を力で無理やり立てた結果、腰が反ってしまっている。この状態で行っても瞑想に入りにくい。
骨盤は自然に自立し、背骨は最小限の力で伸びた良い姿勢。難しければクッションに浅く座ってこの姿勢を作り、楽に骨盤を起こそう。
綿本 彰(わたもと・あきら)さん
日本ヨーガ瞑想協会会長。
インドをはじめ世界各国でヨーガや瞑想指導を行う。『一瞬で自己肯定を上げる瞑想法(KADOKAWA)など著書多数。オンラインクラス http://yoga.jp
『クロワッサン』1030号より
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