からだ

夫がホルモン補充療法(HRT)に反対するので険悪になりつつあります。【87歳の婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. 夫がホルモン補充療法 (HRT)に反対するので険悪になりつつあります。

主婦です。そろそろ閉経という年齢です。カラダじゅうの節々が痛いし、イライラして些細なことに腹が立ちます。更年期障害の治療について夫に相談してみたのですが、ホルモン剤を使うなんて反対だと言われてしまいました。勝手に治療を始めるわけにもいかず、心身ともに落ち込んでいます。夫の顔を見るだけで不愉快になるし、このままでは夫婦関係まで悪くなってしまいそうです。(J・Fさん 48歳 主婦)

A. 自分のカラダのことです。なぜ自分で決めては いけないのでしょう。

野末悦子さん 産婦人科医師

体調の悪さをわかってほしいのに、わかってもらえない。しかも、いちばん身近であるはずの夫の無理解は、心身にこたえるものです。J・Fさんの夫君は、なぜ反対するのでしょう。

一つは、HRTについて「知らない」からです。補充するエストロゲンの量は40代のころに比べ約3分の1程度にすぎないこと。閉経後の女性は、男性がもつエストロゲン量よりも分泌量が減ってしまうこと。それにより、全身に更年期症状があらわれること。HRTは数十年の歴史がある、更年期の標準治療であること。知らないから不安。だから否定する。J・Fさんは、まずはご自分で情報収集をすることです。

「更年期では?」と感じた不調

更年期症状はさまざま。症状の出る時期もさまざま。自己判断せずに、気になる症状があれば更年期外来など専門医を訪ねたい。※表の出典は、NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会調べ(2007年7月)

そして、もう一つ。夫婦間の問題を話し合ってこなかったツケが、更年期にきて表面化してきた可能性がありますね。カラダのことだけでなく、自分のことをわかってくれない不信感、不安が長い期間、積もり積もっていたのかもしれません。私の患者さんの中には、自分では問題がないと思っていたのに、夫とじっくり話をしてみたら、離婚することになってしまった例もあります。

さて、治療についてです。明日にでも婦人科にいらしてはいかがでしょう。自分のカラダの治療をするのに、必ずしも夫の了解は必要ではありません。最優先すべきは必要な治療で、カラダを立て直しましょう。夫との関係は、それから見直せばいいのです。

男性は、男性ホルモンがなだらかに減るので急激な変化は感じにくいのですが、50〜60歳くらいから男性更年期の症状が出てきます。症状は、メンタル面、疲れ、だるさ、意欲減退……など多岐にわたります。男性更年期外来など専門外来で男性ホルモン補充療法を受けることもできます。

夫の体調の変化も見逃さず、ご自身の体調・体験を伝えながら、話し合う機会を作ってみましょう。医師の了解をとった上のことですが、互いの診察に立ち会うこともできるようになるかもしれませんね。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

自分の治療第一。人間関係の改善は、そのあとから。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、久地診療所初代所長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などを歴任。

『クロワッサン』1025号より

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