からだ

ホルモン補充療法(HRT)を続けていますが、体重が増えてきています。【87歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. ホルモン補充療法(HRT)を続けていますが、体重が増えてきています。

HRTを始めて半年になります。閉経は約1年前です。ホットフラッシュ、不眠、気分の落ち込みが続いて、仕事を辞めてしまおうかと悩んでいたのです。でもHRTを始めたら、すぐにホットフラッシュはなくなり、よく眠れるようになりました。ただ、先日体重を量ったら、3kgも増えていたのです。HRTをすると太ると聞いたことがあるのですが、本当でしょうか? 身長は157cm、体重は61kgです。(C・Kさん 54歳 契約社員)

A. 体重増加は体調が整ってきた証拠かもしれません。

野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

結論から申し上げますね。

HRTが原因で太ることはありませんので、ご安心ください。

C・Kさんの体重が増えたとしたら、HRTをすることで、よく食べ、よく眠れるようになるなど、体調が改善された結果かもしれませんね。

ボディマス指数=BMI(Body Mass Index)を算出してみますと、C・Kさんの数値は、24.7。左の表を見ていただいてもわかるように、普通体重の範囲内です。

更年期医療の現場でも、「毎年太っていく」「痩せたい」と相談を受けることは多いのですが、皆さんの身長体重を伺うと、肥満治療が必要な方はほとんどいません。日本女性の場合、50代でBMI値25以上は19.2%です(厚労省 平成30年「国民健康・栄養調査報告結果の概要」)。また、BMI値25~30の、ややぽっちゃりしている方のほうが長生きするという研究もあるくらいです。

むしろ更年期以降に問題になるのは、BMI値18.5以下の、痩せている方なのです。スマートで何が問題なのかと思われるかもしれませんが、体重が軽いと骨に負荷がかかりにくく、閉経後に骨粗鬆症になるリスクが高くなるからなのです。C・Kさんは、もちろんHRTを始める際に、ご自身の骨密度は計測ずみだと思います。更年期世代の方でBMI値が低いという方がいらしたら、ぜひ一度骨密度を測っておくことをおすすめします。

肥満度の判定基準(日本肥満学会)

BMI25以上の女性は、50代で19.2%、60代になると27. 5%に増加する。エストロゲン減少の影響も。出典:厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」

年齢ごとの目標とするBMIの範囲

65歳以上の低栄養がこの10年で増加傾向にある(平成28年度国民栄養調査)。肥満も痩せすぎも注意したい。出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準の概要2015」

私は今87歳ですが、20代から体重の変化はほぼありません。とくに運動らしい運動もせずに、歩き回っているのは病院内という生活ですが、食べる内容で調整してきました。昔も今も好き嫌いがなく、高カロリーのウナギも中華料理も大好きですが、今では半量くらいがちょうどよくなっています。その分、たんぱく質は気をつけて摂るようにし、食事の回数を調整して摂取カロリーが極端に減らないようにしています。

太る、痩せるは、基本的には摂取カロリーと消費カロリーのバランスです。ただ、加齢するにつれて、どうしても代謝が悪くなり、消費カロリーが減少するのは確かです。よい機会ですので、運動量や食事内容を見直すのもよいかもしれませんね。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

更年期は、運動や食事を見直すよい機会とする。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1023号より

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