内田真美さんには、ルールがある。それは大きな型で作るプリンのレシピだったり、毎朝淹れるお茶の時間だったり、欠かすことのない台湾の調味料だったり。
「基準は、自分の好き、偏愛ですね。暮らしの中の小さな発見や実験を重ねて、残ってきたルールばかり。きっと誰にでも、あるのではないでしょうか」と笑うが、内田さんのこだわりの年月は長い。幼いころから世界の料理本が愛読書。どんな味かと想像し、長じては食をテーマごとに分析してきた筋金入りだ。
「このプリンもだんだん大きくなって、今や直径18cmですが、切り分けても崩れないようにするにはどうするか、山ほどの試作をくり返してできました。でもまだ完成ではなくて、現在進行形でレシピは動いているんです」
台湾好きとしても有名な内田さん。毎年必ず訪れて、おいしいお茶や食材、料理や店を見つけては紹介してきた。
「その根っこも同じです。この味ができた背景を知りたいと思って通っているうちに20年たっていました(笑)」
そんな大好きな台湾のお茶を淹れて内田さんの一日が始まる。「お茶のいいところは、ゆったり時間が流れること。仕事もマイペースに、ほどよく楽しく、穏やかに」が、暮らしのルール。予想外に「きれい」の優先順位は低いのだという。こんなに色白の美しい肌なのに?
「きれいとは何だろうと考えると、私にとっては、短く整えた爪や洗いたてのリネンのような清潔感が何よりなんです」