からだ

口腔内の浄化力アップが見込める、唾液量の増やし方。

30代以上の8割が歯周病といわれる今。全身疾患にも深く影響を及ぼす歯周病菌から身を守るには、驚くチカラを持つ唾液に頼るべき。矯正歯科治療専門医の坂本紗有見さんに聞きました。
  • イラストレーション・大庫真理 文・板倉みきこ

【量を増やす】唾液の量が劇的に増える、ベロ回しエクササイズ。

口は、口唇や歯、歯ぐき、口蓋、粘膜、咽頭、唾液腺などで構成されるが、唾液の量を増やすために坂本さんが舌(ベロ)に着目したのはなぜか。

「自分の意思で動かすことのできる、巨大な筋肉のかたまりだからです。全身の筋肉同様、使わなければ衰え、機能も低下します。でも、ちゃんと鍛えれば効果が確実に上がるのも筋肉の良い点です。実際にベロを動かすと、口の中にある複数の唾液腺が刺激され、たくさんの唾液を出すことができます」

坂本さんが考案した「ベロ回しエクササイズ」はわずか1分で終了。

「1日3回、食後のベロ回しを習慣化すれば、ベロは本来の機能を取り戻し、唾液のスムーズな分泌が促されます」

以下のエクササイズを行ってみると、舌が歯ぐきの奥まで届かなかったり、左右で感覚が違うかもしれない。

「届かないなら筋力が低下している証拠。左右差は噛みグセがもたらしているので、やりづらいほうをより意識して鍛えるようにしてください。続けていくうちに筋肉が鍛えられ、スムーズにできるように。ベロ回しを習慣にすれば、唾液の量が増えるだけでなく、咀嚼や嚥下、呼吸、姿勢、発音など口に関するすべての機能が改善されます」

口腔内の浄化力アップが見込める唾液量を増やしながら、質を高める生活習慣も取り入れれば鬼に金棒。

1.口は閉じた状態で舌を歯ぐきの右上奥につけ、歯ぐき表面をなぞって右上から右下へ、ゆっくり円を描くようにぐるりと回す。奥歯の先までしっかり舌を伸ばすこと。上下それぞれ6秒ずつかけるのが目安。
2.右下から1でなぞったところを折り返し、右上まで戻る。下の前歯に舌が当たると痛みを感じる場合は、なるべくゆっくり回すこと。それにより舌の筋肉が刺激できる。上下6秒ずつかける。
3.舌で歯ぐきの裏側を左下から左上へぐるりとなぞる。食べかすなどの汚れを掃除するイメージで歯と歯ぐきの間を丹念に。上下6秒ずつかける。
4.折り返して、歯ぐきの裏側の左上から左下へなぞる。最初は舌が疲れたり、突っ張られるように感じることもあるが、徐々に慣れる。
5.右上奥の歯に舌を当て、そのままで3秒キープ。左上奥も同様に。舌の筋肉を鍛えることを意識して、思いっきり伸ばすこと。
6.同様に、右下奥と左下奥の歯に舌をつける。3秒ずつキープ。舌下腺が刺激されて唾液が出るので、下あごの内側に唾液が溜まっているはず。その唾液で軽く口をゆすぐとよい。

坂本紗有見(さかもと・さゆみ)さん●銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81院長。日本美口協会代表理事ほか。著書に『歯周病、口臭、むし歯を防ぐ 1分間「殺菌ベロ回し」』(アスコム)がある。

『クロワッサン』1016号より

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