最近、眠れません。年のせいと、諦めるしかないでしょうか。【87歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】
撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子
Q. 最近、眠れません。年のせいと、諦めるしかないでしょうか。
眠りがどんどん浅くなっています。11時くらいにベッドに入ると、3時くらいに目が覚めてしまい、それ以降は眠れないのです。睡眠不足のせいか、仕事中もだるくてしかたがないときがあります。年齢のせいと思って、諦めるしかないでしょうか。閉経は2年前くらいでした。このことと、関係がありますか。病院に行くとしたら、どこに行けばいいのか、教えていただけますでしょうか。(K・Iさん 49歳 会社員)
A. まず、婦人科へ。それでも眠れなかったら他の方法を考えましょう。
K・Iさん、こんにちは。眠れないのは、おつらいでしょう。日中、仕事にも影響があるようですから、このお便りを機に、カラダを立て直しましょうね。
更年期障害は、睡眠障害やうつ気分、イライラなどの精神症状に出てくることが多いのです。K・Iさんの場合も、エストロゲン減少で引き起こされている可能性が高いと思います。まずは、婦人科にいらしてください。症状を伝え、ホルモン補充療法(HRT)を試したいことを伝えましょう。
治療しても症状が改善しないようでしたら、その段階で睡眠外来、心療内科などで診てもらいます。婦人科と連携をとっている病院ならなおいいですね。HRTと入眠剤を併用している方も大勢いらっしゃいます。夜中にトイレで目覚める場合も、エストロゲンは膀胱粘膜や尿道粘膜にも働きかけるので、ぐっすり眠れるようになる可能性があります。
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K・Iさん、もしHRTを受けることになっても、罪悪感など感じる必要はまったくありませんよ。今だに「(HRTは)不自然だ」と言う人がいますが、閉経後、30年、40年生きること自体が不自然であり、すべての医療も不自然だと言えるでしょう。その点、もともと備わっていたホルモンを少量補充するHRTは、無理のない、とても理にかなった医療です。
同時に、しっかりカラダを動かし、しっかり栄養を摂るようにしてくださいね。
※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。
HRTに罪悪感を感じる必要ナシ。(Dr.野末)
野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。
『クロワッサン』1015号より
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