地方に住んでいて、更年期症状が気になっても近くに婦人科がありません。【87歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】
イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
Q. 地方に住んでいて、更年期症状が気になっても近くに婦人科がありません。
野末先生、はじめて質問をお送りします。49歳で、月経は不規則で、大量に出血するときがあったり、2〜3カ月、月経がこなかったり。顔が熱くなって、頭の中までびっしり汗をかくこともあります。これが更年期障害かと思いますが、地方のため、近くに婦人科がありません。出産したときも、車で2時間かけて通院していました。この症状で治療するべきかどうか、相談する方法はないでしょうか。(D・Iさん 49歳 公務員)
A. まずは更年期の治療をしている病院のリサーチから始めましょう。
D・Iさんのお便りを拝見する限り、更年期の影響がおありのようですね。毎日の生活・仕事に支障があるようでしたら治療はしたほうがいいでしょう。
「近くに婦人科がない」というお悩みもよく聞くことで、私の患者さんも、県外からいらっしゃる方が少なくありません。
近所であるのに越したことはないですが、治療開始後、安定すれば、3カ月に1回程度の通院ですみますので、遠方でも、治療の質を優先して選ぶのも方法です。
まずD・Iさんにしていただきたいことは、以前もご紹介した「SMI(簡略更年期指数)」です。ネットで検索できますので、自己チェックして点数を出してみましょう。
その後、無料で電話相談をしている「NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会」にご連絡してみてはいかがでしょうか(専用電話 TEL.03-3351-8001 毎週火曜・木曜 10時30分~16時30分)。この協会は、1996年発足、電話相談は1998年に開設以来、専門知識のある「女性の健康相談対話士」が相談に当たっています。ご自身の症状のこと、治療内容について、薬に関する疑問など、基本的な疑問に対応してくれると思います。医療機関へのアンケートなどを元に、ホームページでも全国の婦人科・更年期外来を案内しています。
病院選びで気をつけたいのは、ひと口に婦人科と言っても、産科が中心なのか、更年期医療を専門としているかどうか。それにより医師の対応も知識も、まったく違います。飛び込んでからがっかり……では、時間とお金のムダです。できるリサーチはしてから、が原則。人生後半の、大事なパートナードクター選びです。自分のカラダを任せられる病院・医師を選ぶ権利は患者側にあることを忘れないでください。
更年期外来が決まったら、初診の際にはSMIの結果を持参してくださいね。自分の症状もまとめておくとコミュニケーションがスムーズに運ぶと思います。治療が始まってからも、疑問があれば、信頼できる電話相談などを利用することは賢い方法だと思います。
※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。
医師は治療のパートナーです。真剣に選ぼう。(Dr.野末)
野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。
『クロワッサン』1012号より