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PMSが重くてピルを飲んでいますが、閉経後どうするか考えています。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q. PMSが重くてピルを飲んでいますが、閉経後どうするか考えています。

月経前症候群(PMS)で、30代から低用量ピルを飲んでいます。いま46歳で、何年後かに閉経すればピルはやめることになると思いますが、その後、更年期症状が出た場合は、ホルモン補充療法(HRT)の選択も考えています。ただ心配なのは、HRTをすると、またPMSが始まってしまうのかということ。担当医とは話していないのですが、野末先生に伺っておきたいと思い、お便りしました。(M・Tさん 46歳 会社員)

A. HRTでPMSが復活することはまず、ありません。

M・Tさん、質問をありがとうございます。低用量ピルで月経周期も安定しますし、経血も少なくてすみますから、体調もよく過ごされてきたのですね。まだおやめになる必要はありませんが、今後の方針などについて疑問があるようでしたら、一度、かかりつけの医師に質問しておきましょう。

その上で、私の回答も参考にしていただければと思います。

さて、低用量ピルは、避妊、過多月経やPMSの治療のために処方されるもので、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)とを同時に使い、妊娠と同じホルモン状態にして、卵巣の機能を止め、排卵が起きないようにしています。

一方、更年期障害の標準治療、HRTは、もう卵巣の活動が終わりを迎えている状態で使うもの。エストロゲン、プロゲステロンを用いるのは同じですが、含まれる分量がまったく違います。

HRTは、低用量ピルの、だいたい5分の1程度。「不足」を少量補って、更年期の諸症状を軽くし、骨密度の低下を予防、血管の弾力を維持しようというものです。

処方もいろいろあり、消退出血(月経と同じしくみ)を起こす方法もあれば、出血を起こさせない方法もあって、医師と相談しつつ、自分で選ぶことができるんですよ。子宮を全摘している人はエストロゲンを単独処方(ERT)します。

M・Tさんの疑問ですが、HRTによって、またつらいPMSが起きることはありませんので安心してください。

【2つの女性ホルモンはこう変わる】

月経周期にみる女性ホルモンの変動図。閉経後にはHRTで失われたエストロゲンを少量補充する。※グラフはイメージ図

以前、「HRTを始めたら、また妊娠する可能性もあるのですか?」と質問をいただいたこともあるのですが、一度停止した卵巣機能がエストロゲンによって蘇ることはありません。もちろん、排卵が起こることもありえません。

卵巣の機能が完全に停止しておらず、年に1度でも2度でも排卵があれば妊娠の可能性はゼロではありませんが、それはHRTによって起きるわけではないのです。

HRTに切り替えたいと思ったら、ピルを一定期間やめて、婦人科で血液検査をし、卵巣機能が低下していることを確認してから始めるようにしてくださいね。

女性ホルモンの感受性や更年期症状は個人差が大きいので、HRTを始めても効果を感じなかったり、不快症状があったりしたら、医師とよく相談することが大事です。薬を替えたり、飲み方を替えたりして、快適に過ごせる方法を賢く探っていきたいですね。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ピルもHRTもかかりつけ医との連携を大事に。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1008号より

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