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生活習慣病の治療中です。HRTと併用しても大丈夫なのでしょうか。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q. 生活習慣病の治療中です。HRTと併用しても大丈夫なのでしょうか。

45歳すぎたころから血圧が高くなり、降圧剤を飲んでいます。2年前にはコレステロール値も高いと指摘され、薬を処方されました。いま50歳で、月経はたまに少量の出血がある程度です。最近、めまいがひどくなったり、顔がぼーっと熱くなったり。更年期の症状なら治療をしたいと思っています。内科の薬を服用していても、ホルモン補充療法(HRT)と併用していいものでしょうか。(N・Sさん 50歳 会社員)

A. 併用しても、大丈夫です。更年期外来で相談してみましょう。

N・Sさん、こんにちは。結論からお伝えしますね。

大丈夫です。降圧剤や抗コレステロール薬を飲んでいても、HRTはできます。糖尿病などもコントロールできていれば禁忌とはなりませんので、まずは更年期外来で相談してみましょう。

女性ホルモンであるエストロゲンには、血中の総コレステロール値を抑える働きがあります。血管を若々しく保ち、動脈硬化症、脳梗塞、心筋梗塞などから女性のカラダを守ってくれています。閉経後、年数がたつほど生活習慣病のリスクが増えるのはそういうわけなのです(下図)。

【閉経をすぎると生活習慣病が始まる】

血管などを守るエストロゲンが減少すると、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が増えてくる。日々の習慣を見直す機会と考えたい。『年代別 女性の健康と働き方』(女性の健康とメノポーズ協会)より作成

つまり、HRTでエストロゲンを補充すれば高血圧にも有利に働くこともあるわけです。実際、HRTを始めてから血圧が下がり、安定する例は少なくありません。

ただ、誤解してほしくないのは、「HRTをすれば若返る」わけではないということ。そうではなく、もしN・SさんがHRTを選択したら、「今の血管の状態を維持」できる可能性が高い、ということなのです。結果的に10年後にも、年齢に比べて若々しい血管でいられる可能性は大いにありますが、決して若返るわけではありません。

また、健康診断の数値がすべて改善したり、不快症状がすべて消え去ったりするわけでもありません。閉経して年数がたてば生活習慣病のリスクが高くなるのは避けられないことなのです。HRTの選択は生活習慣病予防の対策として有効ですが、毎年の健康診断を賢く活用してほしいです。

聖路加国際病院の日野原重明さんは、生前よくおっしゃっていました。「(健康診断の)結果、どうするか考えることだ」と。私もそのとおりだと思います。

N・Sさんも、これを好機ととらえ、積極的に食事や運動を見直しましょう。病気を未然に防ぐことにもつながります。

また、今かかっている内科にも、更年期治療のことを上手に伝えておきましょう。他科との連携も大事になってきます。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

 HRTを選択しても生活習慣病予防にはつとめましょう。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1010号より

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