多忙なのに元気な山口恵以子さん(作家)の習慣とは。
撮影・岩本慶三 文・長谷川未緒
冬は鍋プラス体操で、丈夫で長生きをめざしたい。
「若いころからあまり病気をしたことがないんです。頭痛が起きたこともないし、風邪もひかない。四十肩もありませんでした。唯一、冬は手荒れと唇荒れがひどかったのですが、タンパク質を摂るようになり、改善されました」
と語るのは、本誌連載などでもおなじみ、作家の山口恵以子さんだ。
主食にお米を食べるのは週に2度ほどという、ゆるやかな糖質制限を行いながら、タンパク質たっぷりの食事が健康の土台になっている。
「糖質制限をすると、いまの食事から炭水化物を抜くだけという人が多いようですが、それだと栄養不足になってしまうことも。動物性・植物性のタンパク質とミネラルを多く含んだ野菜を充分に摂ることが必要と、管理栄養士さんに教わりました。夏は肉野菜炒め、冬は鍋が多いです」
かつおだしやこんぶだしベースの鍋はおろしポン酢で、水炊きにはごまだれを、味噌を入れて石狩鍋にしたり、キムチチゲや豆乳鍋にしたり。
「ベースのスープで変化をつけるようにすれば、毎日でも飽きません。鍋は、野菜がしぼむのでたくさん食べられますし、体がしっかり温まります。なにより、料理する時間がないときに、手軽に作れていいんです」
体操で運動不足の解消とメンタルの不調を克服。
山口さんが食事に加えて行っている習慣が「きくち体操」だ。元体育教師の菊池和子さん創案の、体のつくりに沿った動きを通じ、生き生きと健康に過ごすことをめざす体操だ。これを本誌の企画で出合ってから続けている。
「運動が苦手で、できればごろごろしていたい。でもそれだと衰える一方なので、週に2回ほど教室に通っています。家でもやったほうがいいのですが、ついさぼりがちですね」
足指を1本ずつ丁寧にほぐしたり伸ばしたりして、足首をゆっくりと回す“足首回し”と、膝を曲げた状態で行う“腹筋”をゆっくり10回、家ではこれを日課にしている。
実はこの体操で、メンタルの不調からも脱することができたという。
「母を亡くしてから半年くらいナチュラルハイでしたが、一段落したら、がくんと落ち込んでしまって。でもきくち体操をすると、血流がよくなるせいか、気分もあがるんです」
亡くなる前に階段でつまずき、最期は病院で寝たきりになってしまった母。その姿を思い出すと、死ぬまで、自分の足で歩ける体でいたいという。
「理想は、“丈夫で長生き突然死”です(笑)。食事と体操を続けていけば、叶うんじゃないかなと思いますね」
元気を生み出す食事とツール。
『クロワッサン』1008号より