〈入浴〉タイミングや温度など、工夫次第で不調改善の強力な味方に。
撮影・中島慶子(尾野さん)、黒川ひろみ(商品) イラストレーション・山中玲奈 文・嶌 陽子
Q.体にとって最適な入浴の タイミングはいつですか?
深い睡眠を得るのに理想的な入浴のタイミングは、人間の体内温度の変化と深く関わっている。
「人間の体温は、早朝の最も低い状態から少しずつ上昇を始め、夕方頃に最高になり、そこからま蝣た下がり始めます。就寝時に体温を下げることが、質のよい眠りには必須。入浴によって一時的に体温を上げると、1〜2時間後に体温はその分大きく下がろうとします。つまり、就寝の1〜2時間前が入浴のベストタイミング。湯冷めしやすい冬場は就寝の1時間前、夏は1〜2時間前に入浴するのが理想的です。また、空腹時や食後すぐの入浴は、貧血や消化不良を起こすので避けましょう」
入浴は副交感神経を優位にする効果も。リラックスした状態のまま、床につくことを心がけよう。
Q.忙しくてゆっくり 入浴できないときは?
「忙しい人が優先すべきは、入浴よりも睡眠。夜遅くに帰宅して眠いのであれば、無理して入浴せず、寝たほうがいいでしょう」
湯船につかる時間がない日は、シャワーを浴びるだけでも意味はあるという。
「シャワーで体を少しでも温めれば、血流がよくなります。コツは心臓に30秒〜1分ほどシャワーを当てること。温められた血液が体内を巡り、体もほぐれます」
もうひとつ、血流をよくするためにおすすめなのが手浴だ。
「洗面器もしくは洗面台に42度くらいのお湯を張り、5分ほど手首までつけるだけ。フェイシャルパックなどをしながらでもできますし、準備や後片づけも楽なので、ぜひ試してみてください」
Q. 「半身浴を長時間」は、体にいいですか?
長時間のぼせずに湯船につかっていられる半身浴は、体によさそう。なんとなくそんなイメージを抱きがちだが、
「実際には上半身が冷えてしまい、体全体が温まりきらないので、特に冷え性の人にはおすすめしません。心臓に疾患がある場合を除き、体全体を温めて弛緩させる全身浴のほうが効果的です」
ただし、湯船で読書するなど、長時間のリラックスを目的に入浴したい人もいるだろう。
「その場合は体が冷えないよう、全身浴と半身浴を組み合わせるといいでしょう。入浴中は体が弛緩し、ほぐれやすくなっています。半身浴中に体や頭皮をマッサージして、さらに血行をよくするのもおすすめの過ごし方です」