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50代からの住まいを考えるための4つのヒント。

人生の折り返し地点を迎え、ライフスタイルは否応なく変わりゆく。若い頃のせわしない明け暮れも賑やかで充実したものだったけれど、今となってはもう少しゆったりと。我慢も無理もしたくない。
これからは自分らしくありたいのです。実り多い人生の後半を過ごすための「家」について考える4つのヒントを「スタイル工房」チーフプランナー渡辺ノリエさん、住生活ジャーナリスト、コンサルタントの藤井繁子さんに伺いました。

撮影・中島慶子(藤井さん) 文・新田草子

環境や体が変わる50代は、住まい転換適齢期。

スタイリストの野崎美穂さんは静岡と長野で二拠点生活を実践中。
スタイリストの野崎美穂さんは静岡と長野で二拠点生活を実践中。

「住まい方は、結婚や子育てなどのライフステージで変化していくものですが、とりわけ50代から60代で大規模なリフォームを考える方は多いですね」とは、「スタイル工房」のチーフプランナー・渡辺ノリエさん。そのわけは、

「子どもの自立を機に、夫婦2人のための住みかにしたい、というのがひとつ。新築やリフォームから時間が経ち、設備機器の老朽化が始まる時期でもあります。さらに体力の衰えを感じる頃に差しかかり、まだ元気なうちに住まいを整えたいと考える人が少なくない。リタイアを目前にしたシングル女性が居心地のよい住まいを、と考え始めるのもこの時期です」

さまざまな要素が重なる50代は、住まい転換の適齢期。今まさに自宅のリフォームを考えているという住生活ジャーナリストの藤井繁子さんも、「40歳で自分の価値観は確立したと思って家を建てましたが、違いました」と言う。「親の死や自分の体調変化を経ないと気付かないこともあります。良いと思って建てたデザイン性の高い家を持て余すようになって」

目下リデザインを検討中だが、「長寿時代だし、今後どういう変化があるかは予測できません。終の棲家と決めつけず、まずは20年後を見据え、その頃にどう生きていたいか。それに沿って考えていきたいと思っています」

趣味と機能。リフォームのスタイルはどう考える?

イラストレーターの松尾たいこさんは、福井・美浜町の別宅で陶芸に没頭。
イラストレーターの松尾たいこさんは、福井・美浜町の別宅で陶芸に没頭。
サーフィンや読書、愛犬との生活など、趣味をとことん極めるのも選択肢のひとつ。
サーフィンや読書、愛犬との生活など、趣味をとことん極めるのも選択肢のひとつ。
これから年を重ねても快適に暮らせるよう、バリアフリーにすることも検討を。
これから年を重ねても快適に暮らせるよう、バリアフリーにすることも検討を。
イラストレーターの松尾たいこさんは、福井・美浜町の別宅で陶芸に没頭。
サーフィンや読書、愛犬との生活など、趣味をとことん極めるのも選択肢のひとつ。
これから年を重ねても快適に暮らせるよう、バリアフリーにすることも検討を。

実際のリフォームで、まず検討するべきことは? 渡辺さんによれば、大きな軸は次の2点。

「ひとつは、趣味にこだわった住まい作り。リビングに木材燃料のストーブを入れたり、ペット用の設備を整えたりと、生活に追われていたときにはできなかったことを実現したい人は多い。好みが確立し、将来も何となく見えてきた50代だからこそできる選択です」

もうひとつが、「年齢を重ねてもそこで暮らす」という視点。

「寝室とトイレを近くして事故を防ぐ、戸建ての場合は、寝室など生活空間を1階に集中させるといったリフォームが考えられます」

藤井さんも、「家で医療や介護を受けるケースは必ず想定しておきましょう」と、アドバイス。「老後人生が長くなる一方で病院が不足し、社会福祉のサービスが在宅ケア重視へと変化しています。例えば、過ごす時間の長い居室を一番眺めのよい場所にする。戸建てなら外部スタッフが寝室に直接出入りできるルートを庭に設けても」

備えておけば、万が一親を呼び寄せる必要が生じたときも安心だ。

「50代、60代はまだまだアクティブな世代。遠方に住む親の介護に時間を割くよりは発想を転換し、地域の力も借りて一緒に生活するほうが現実的ではないでしょうか」

趣味とデザイン、機能。バランスの取れた住まいを考えたい。

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