颯爽としたエプロン姿も見事に決まって、得意料理のパエリアに腕をふるう引田ターセンさん。
「料理を始めたのは会社をリタイアしてからだから、かれこれ20年近く。でもパエリアを自信を持って作れるようになったのはこの4〜5年ぐらいかな。今はパスタ修業中なんだよ」
「ターセンは凝り性だものね。でも会社勤めのときは家事なんてやらなかったんです。『男子厨房に入らず』の世代ですから。私は家族が朝バタバタと出かけて行った後、掃除洗濯をして夕食の支度をしてという専業主婦の日々に、やりきれない思いを抱えていた時期もありましたね」
と妻のかおりさん。キッチンで楽しそうに料理をするターセンさんからは想像もできないが、今のように家事を率先してするようになるまでには紆余曲折があったという。
そのきっかけとなったのはターセンさんの「会社の卒業」。IT企業のビジネスマンだったが、「やるべきことはやりきった」と決断し、52歳で早期退職した。