個人的には“グルジア”の響きがまだ耳馴染むジョージアという国名を聞いて最初に頭に浮かんだのは、関取・栃ノ心……! 映画がすぐに思い出せなかったのが恥ずかしいかぎり。最近の公開作だけでも、思春期の少女たちの揺れ動く心情を描いた『花咲くころ』は素晴らしかったし、ジョージアで撮影され、出演俳優がジョージア出身の『独裁者と小さな孫』は忘れられない。心に残ったジョージア作品たち、いろいろあったのに……。
そんなジョージア映画人たちの尊敬を集める長老、御年85歳のエルダル・シェンゲラヤ監督の21年ぶりという新作『葡萄畑に帰ろう』は、CGをふんだんに使ったコメディで、家族の再生を描いたホームドラマで、なにより皮肉な風刺劇。おじいちゃん(と呼ばせてほしい)の駆使するCGのまったり感は、なんともいえない愛らしさで、その空気感に思わずのんびりした気分で観てしまうかもしれないが、内容はかなりシビアなものになっている。