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味噌汁は自由に作るべきもので、こうでなければという規則はありません――高橋博(永田町「瓢亭」主人)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、老舗の味を守る名料理人の言葉に耳を傾けてみましょう。

文・澁川祐子

1977年7月号「料理基礎教室3 みそ汁を作る」より
1977年7月号「料理基礎教室3 みそ汁を作る」より

味噌汁は自由に作るべきもので、こうでなければという規則はありません――高橋博(永田町「瓢亭」主人)

創刊号からはじまった連載「料理基礎教室 あなたの腕前を判定します」。読者が決められた料理をつくり、それをプロが評価、指導するという体験企画ものです。

3回目のお題は「みそ汁」。指導するのは、永田町「瓢亭」の主人です。東京の瓢亭は1924(大正13)年、京都南禅寺瓢亭の分店として神田万世橋に開店。その後永田町、池尻と移転しながら三代にわたって続く老舗の日本料理店として知られています。

3人の参加者が各自材料を選んでつくったのは、大根と油揚げのみそ汁、わかめのみそ汁、エノキダケのみそ汁。一応、三人とも及第点をもらったものの、みその選び方、合わせ方が問題に。こうでなければという規則はないと語っているように、具材や季節によってみその合わせ方に変化をつけてみることを高橋さんはすすめています。

<みなさんは信州味噌なら信州味噌だけしか使わない、それじゃあ飽きますよ。ところが飽きを通り越すとそれが”わが家の味”と思う。しかし、夏はからい赤味噌でサラッと、冬は白っぽい味噌でどろっと仕立てる、といった季節による使い分けを考えてほしい>

掲載時は夏ということで、先生のお手本のナスのみそ汁は、仙台味噌を主に赤出し味噌を少し加え、あっさりとからめに仕上げています。

いつも変わらない味もいいものですが、たまにはちょっと手を加え、季節を味わう。気負わず、料理を楽しむ姿勢を教えてくれるひと言です。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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