フランス語版に続き、英語版も自らの印刷所で手がけた。でも、日本語版はそうはいかない。洋書に副読本を添える形にするなどの案もあったが、最終的に大日本印刷が保存していた鉛の活字を用い、不足している文字を鋳造することで、約400ページに及ぶ日本語版も活版印刷での出版を11月に実現。厚み部分の金付けも同様にほどこされている。
「紹介したのは、私たちが実際に通いなれているおすすめの場所。実際に便利帳として活用してほしいと思っています」
まさにタイトルにあるとおり、個人的な生活に根差したセレクト。隠れ家的なカフェバーや、建物も見ごたえある図書館、アールデコ様式のプールなどのほか、腕のいい鍼灸師、歯医者、薪炭専門店、額縁職人といった思いがけないラインナップも。店主の人柄や訪れる客の描写も含む紹介文は、旅行者向けのガイドにはない想像を膨らませてくれる内容で、読み物としてもおもしろい。