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〈新田恵利の看取りの話 Vol.5〉お盆の帰省の参考に——いつも介護を担ってくれる家族への心遣いを忘れずに

6年半にわたる実母の在宅介護と看取り、愛犬たちとの別れを経験してきたタレント・新田恵利さんの連載。介護を「別れを受け入れる準備の時間」と捉える新田さんが、読者の人生に寄り添う看取りのエピソードを綴ります。今回はお盆の時期に合わせて、「帰省」をテーマにお届け。実家に帰るタイミングで実践してほしい自身の体験に基づいた「3つのおすすめ」を紹介します。

文・新田恵利 編集・クロワッサン編集部

小学校2年生の夏休み、兄と一緒に近所の盆踊りへ
小学校2年生の夏休み、兄と一緒に近所の盆踊りへ

8月のお盆に帰省する人は多いですよね。人、人、人で溢れんばかりの空港ロビーや新幹線ホーム、永遠に続いてるかのような高速の渋滞……。そんなニュースを毎年テレビで見ていました。

私達夫婦には帰省する実家がありません。主人は東京・赤坂育ち。私はベッドタウンの埼玉県上福岡市(現・ふじみ野市)です。私が幼い頃のふじみ野市は、確かに畑しかなかったけど、それでも池袋から電車で40分くらいの町だから「帰省」のイメージからは程遠い。

じゃ祖父母の家は、と思うでしょう? 主人の両親は離婚していて義母方の祖父は他界、祖母とは一緒に暮らしていました。私の祖父母は私が生まれた時にはすでに他界。私がデビューした年に父が急逝し、母と兄と3人で都内へ引っ越しました。結婚後は二世帯住宅を建て、母を引き取っての生活。こんな感じなので、帰省は義母が住む赤坂のマンションが定番。お盆の都内は空いてますよ~。

前置きが長かったですね。つまり、大変だとは思いますが、帰省できる実家や田舎があるのは羨ましいかぎりなのです。そこで「帰省時のおすすめベスト3」をお話しさせてください。親御さんと会う貴重な時間。だからこそ……。

①「大切な話」をしておく。介護・延命・お葬式・財産・相続とフルコースが出来ればパーフェクトですが、まず無理ですよね。「どう切り出して良いか分からない」とか「聞きづらい」とよく耳にします。でも「いつか」は頑張らないと、これから先ずっと困ります。延命治療の希望の有無を聞いておかないと、親の生死を自分達が背負います。自分の一言で繋がれたチューブが外され呼吸が止まる。考えただけで辛過ぎます。それとも心臓が自然に止まるまで医療費を払い続けますか? どちらにしても辛い選択になります。そして長い時間、後悔や消化しきれない思いを引きずる事になると思います。せめて両親に「今度、話し合おうね」くらいの種は撒いて来てくださいね、頑張れ!

母は甘いものが大好き。もちろん「とらや」も大好き! 夏は冷やし汁粉で冬は羊羹が定番でした
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②両親の側で面倒をみてくれている兄弟・姉妹がいる場合、その人たちへのお土産を。帰省する時、親へのお土産とひとまとめにしていませんか? 私は兄と2人で介護していました。姉が他県に居るのですが、お正月やお盆・敬老の日など、年に一度か二度、孫やひ孫を連れて来ました。母は久しぶりに会う娘家族に大喜びです。普段よりテンションも上がり、おしゃべりに花を咲かせ楽しい時間を過ごします。姉家族は母の好きなお菓子を持って来ます。で、置き土産をしていきます。

テンションが上がったり、無理をした母は大概、翌日から体調を崩します。すると下痢になりやすく、その汚れたオムツを取り替えるのは兄や私です(泣)。姉家族はいいとこ取り。たまに顔を出して楽しい時間を過ごして帰る。喜ぶ母の顔を見て親孝行した気分で満足だよね~。兄や私は毎日、母と顔を合わせてるからケンカもするし、体の不調や機嫌の悪い日も一緒。振り返れば、そんな時間を過ごせたことが何よりの幸せだと気づくけれど、その時は何か消化できないものがありました。これが本音。そんな時、兄や私へのお土産とか、「少しだけど美味しいもの食べて」と金一封渡してくれるとか、「自分たちがいる間だけでもゆっくりして」と時間をプレゼントしてくれていたら……。そして1番大切なのは、キチンと目を見て「いつもありがとう、これからもよろしくお願いします」と感謝の気持ちを伝える事です。そうすれば、疲れた時にムクムクと顔を出す「押しつけられた」という感情は、「託されている」に変わる気がしませんか? 

兄弟・姉妹、みんなの親なんです。誰かだけに負担がかかるのは変な話です。でも私が介護に携わって12年、様々な家族を見てきましたが、平等に介護をしている兄弟・姉妹は稀です。ほとんどいません。まだ介護が始まっていないなら、お盆に兄弟・しまいが顔を合わせた機会に会議日を決めてください。両親の前では話しづらいでしょうから、別の場所やネットで会議してください。遠いから介護出来ないとか、子育て中だから時間がないとか、出来ない(個人的には「しない」と思ってるけど)理由はいくらでもあります。でも前もっての話合いで回避出来ることもたくさんあります。遠くて介護出来ないなら金銭面で協力して欲しいし、子育てならもう一方の親御さんや、パートナーなど、子どもを預けられる場所などを探しておけるでしょう。最悪なのはお金も手も出さないのに口だけ出すケース。それが予想される場合は、「お金も手も出さないなら口も出すな!」とルール決めしておくとか……ね(笑)。不安な兄弟・姉妹をお持ちの方、早めの対処をしてくださいね。

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③先ほど帰省時のお土産のお話をしましたが、今年は何にしよう……と悩んでいる方におすすめのお菓子をご紹介させて下さい。知り合いでもないし、利害関係も何もない事をここに誓います(笑)。で、そのおすすめは「おこし」です。地味なとこ攻めてますよね~。新御徒町にある大心堂の「古代」。最初口にした時、おこしの概念が変わったほどです。あ~、でもあんまり褒めるとハードルが上がって感動してもらえなくなるからやめておきます。お盆の帰省、なんだかんだと書きましたが本当の1番はこれ。

「素敵な時間を過ごしてください」

  • 新田恵利 さん (にった・えり)

    タレント

    母親の介護体験を元に、介護についての講演会を行う。2023年に淑徳大学総合福祉学部客員教授に就任。著書は『悔いなし介護』(主婦の友社)。

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