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「Beat It」(マイケル・ジャクソン)──伝説の裏側に秘められた「キング・オブ・ポップ」の本質

高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』がいよいよ公開されます。本作が照らし出すのは、芸術家としてのマイケルの本質です。真摯な意志が、この映画には宿っています。

文・高橋芳朗

映画『Michael/マイケル』のサウンドトラック『Michael:Songs from the Motion Picture』。「Beat It」ほか全13曲収録
映画『Michael/マイケル』のサウンドトラック『Michael:Songs from the Motion Picture』。「Beat It」ほか全13曲収録

マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』がいよいよ6月12日より日本公開されます。主演を務めるのはマイケルの実の甥にあたる新星、ジャファー・ジャクソン。ジャクソン5としてデビューした少年時代から、時代を塗り替えた「キング・オブ・ポップ」誕生までの軌跡をたどります。

本作が照らし出すのは、記録的なセールスやスキャンダラスな話題の陰に隠れがちだった芸術家としてのマイケルの本質です。エンターテイナーとして消費されてきた彼の仕事を、ひとつの純粋な表現として見つめ直す。そんな真摯な意志が、この映画には宿っています。

中でも劇中で大きく取り上げられているのが、マイケルが行った映像表現の革新です。彼はミュージックビデオにドラマを持ち込み、映画的な演出とダンスを融合させました。「ミュージックビデオ」と呼ぶことを好まなかったマイケルは、撮影の場で「僕らが作っているのは映画だ」と語り続けたそうです。

その先駆けとなったのが「Beat It」のショートフィルム。圧巻の群舞シーンで知られるこの映像には、実際のギャングたちを起用した緊張感とともに当時深刻化していたアフリカ系同士の犯罪「ブラック・オン・ブラック・クライム」への告発が込められています。エンターテインメントの形を借りながら、時代の矛盾を鋭く抉り出す。それこそがマイケルの真骨頂でした。

  • 高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

    音楽ジャーナリスト

    TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』『金曜ボイスログ』などに出演中。共に番組選曲も担当。

『クロワッサン』1167号より

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