話題のスペイン産アニメ『ロボット・ドリームズ』日本独占でサントラCD化が実現——高橋芳朗の暮らしのプレイリスト
アース・ウィンド&ファイアー「September」
スペインの名匠パブロ・ベルヘル監督初の長編アニメーション、擬人化された動物たちが暮らす1980年代のニューヨークを舞台に孤独な犬と友達ロボットの友情を描いた『ロボット・ドリームズ』が現在大ヒット中です。
この映画は昨年11月の公開後、SNSなど口コミで評判が広がって1月には興行収入が1.5億円を突破。ミニシアター系の海外アニメ作品としては異例のロングランを記録しています。
そんな人気ぶりを受けて、日本独占でサウンドトラックのCD化が実現しました。ボーナストラックとして映画の実質的なテーマ曲、アース・ウィンド&ファイアーのキャリアを代表する1978年のヒットシングル「September」を追加収録した特別仕様です。
『ロボット・ドリームズ』の劇中で幾度となく流れる「September」は、言わば犬とロボットの友情の証。「Do you remember?」との問いかけで始まるこの曲は9月21日の夜に愛を深めた恋人同士がその3ヶ月後、12月に「あの一夜」を回想する歌詞で知られていますが、これがふたりの心情を完璧に代弁することになるわけです。
既存のポップミュージックが物語の中で有機的に機能している例として、この「September」はまちがいなく最高峰。評価が定まりきった不朽の名曲を、ここにきてフレッシュに響かせることに成功した監督の手腕は見事と言うほかありません。
『クロワッサン』1136号より
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