我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【物価高・円安・消費税減税】
イラストレーション・NIHONBARE 文・一寸木芳枝
右:まねきねこ
50代主婦。昨年、仕事を辞め、現在は親の介護をしながら、時々知人の店でアルバイト中。
左:カエル先生
元新聞記者。ファイナンシャルプランナーの資格あり。投資セミナーの講師も務める。
「この物価高って、いつ終わるんですか?」
2021年後半から原材料価格が上昇し始め、食料品などが軒並み値上げに。その後もウクライナ情勢の悪化や止まらない円安により、モノやサービスの値段は現在も上昇が続く。
まねきねこ(以下、ねこ) 先日、お昼にパンを3つ買ったら、1,000円超え! いつからパンって、こんなに高いんだろう……と、しばし考えてしまいました。
カエル先生(以下、カエル) 食料品については、原材料費の価格高騰が大きな原因です。日本の食料自給率は全体的に低く、例えばパンの原料である小麦は、国内需要の約85〜90%を外国からの輸入に依存しています。ウクライナは小麦の輸出量で世界第5位でしたが、ロシアの侵攻以降、その生産量は大幅に減少。その結果、世界的に小麦の価格が高騰し、影響は今にも及んでいます。
ねこ 問題は日本の自給率の低さ、だと。
カエル 本来は物価が上がると給料も上がるはずなんです。ただ、建築資材である木材や原油など、値上がりしているものは、日本が他国から買わざるをえないものがほとんど。そのため、企業の売り上げが増えても、そこに支払うお金は外国に流れていく。また、利益が上がっても、労働者よりも資本家に還元される傾向が強いんです。
ねこ 宅配便の料金や外食などにも影響が出ているのをヒシヒシと感じます。せめて、お給料が上がっていれば、キツイと感じなくてすむのに……。
カエル 歴史的な円安や人手不足なども追いうちをかけていますからね。下のグラフを見てもわかるように、日本の実質賃金は約30年間ずっと横ばいです。政府も物価高を上回る持続的な賃上げを最重要課題と位置づけてはいますが、どうなるかは未知数でしょう。
ねこ 物価高に対して、私たちができることは、ないんでしょうか。
カエル 資源に乏しい国である以上、これは日本がこの先も抱えていく問題であるのは事実。自給率を上げるのか、使うのを我慢するのか。国民全員で考えるべき課題でしょう。
「ホルムズ海峡の封鎖など中東情勢も不安定な今、物価高が落ち着くのはまだもう少し先になると思います」
「円安で海外旅行に行けないです。円高になったほうがいいんですよね?」
3月には一時、1ドル160円を突破。海外旅行へのハードルは高くなるばかり。
ねこ 先日、友人が金婚式を迎える両親のために、リクエストどおりハワイ旅行を予約したそう。でも現地でいくらかかるか、今から戦々恐々としてました。
カエル 「スーパーのサンドイッチが1,000円超え」「チップを含めたらランチで1万円が軽く飛ぶ」、そんな悲鳴がSNSにあふれて話題になりましたね。
ねこ 円安と円高なら、圧倒的に円高のほうがいいように思えますが、違う?
カエル 先ほどの物価高の話にも出たように、海外からモノを買う消費者である我々からしたら、そうです。為替差益で“お得”を感じられるのは円高ですから。でも一方で、自動車など海外の人にモノを買ってもらいたい輸出企業にとってみれば、今の状況は追い風です。
ねこ インバウンド需要で観光業や小売業も絶好調って聞きます。
カエル はい。企業の業績がよくならないと、給料は上がりません。となると、円安が是か否かは企業側か消費者側か、どちらに立つかで見方が変わる問題です。
ねこ でもなぜここまで円安に?
カエル インフレが続いたアメリカでは、金利が高い水準(政策金利3.5〜3.75%)にある一方で、日本の金利がこれまで上がりにくかったため、投資家にとってドルのほうが魅力的に映ったこと。あとは例えばアニメなど、日本の優れたコンテンツへの投資価値を世界にアピールしきれていないのも大きいでしょうね。
「アメリカの高金利政策の長期化、また日本の低成長が続けば、円安トレンドはこの先も継続すると予測されています」
「消費税減税バンザイ! 喜んでいいですよね?」
高市政権が公約として掲げる「2年間の飲食料品の消費税率ゼロにする」という消費税減税政策。今年の秋に行われる臨時国会への法案提出を目指しているが、その実現性は?
ねこ 飲食料品の消費税が2年間限定だったとしても、家計的には大助かりです。物価高も、まだ続くようですし。ただ当然、これまで入ってきたぶんの税収がなくなるのも理解できるので、そのシワ寄せがどこにいくのか、気にはなります。
カエル 消費税の減税は生活負担の軽減や購買意欲を向上させ経済を活性化させるなど、効果が期待される一方で、その税収減は約5兆円にのぼるとも。
ねこ 5兆円! すごい金額ですよね。
カエル そもそも、私たちが日々払った税金の恩恵は、必ず誰かが受け取っているはずなんです。それは地域の図書館の本が増える、公立の小中学校にエアコンが入るなど、自分とは直接関わりのない範囲や普段目に入らない部分かもしれません。でも、確実に私たちの生活をよくするための何かには使われているわけです。ところがもし、消費税減税が行われ、約5兆円の税収がそのままなくなれば?
ねこ 何かが犠牲になるかもしれない。
カエル はい。何を代替財源にするのかがまだ明確ではないだけに、慎重に議論が行われています。
ねこ よくよく考えると、消費税減税は国民全員にプラスかもしれないけれど、たくさんお金を使っている人ほど恩恵を受けるのもまた事実ですよね。
カエル 現役で働いている世代からしたら、「消費税を減らすよりも社会保険料を下げてほしい」という声が出るのは、そういう理由もあるからでしょう。
ねこ レジのシステム変更にもコストがかかるし、一度引き下げたらまた戻すのも大変そうだし……。ちなみに、実施されるとしたらいつからなんですか?
カエル 今年度内は厳しく、早くても2027年4月以降ではないでしょうか。ただ、高市総理の肝煎りの公約ですから、サプライズもあるかもしれません。
「最大の課題は約5兆円にのぼる税収減を何で代替するのか。慎重な議論が行われており、実施の確度は未知数」
監修・田内 学(たうち・まなぶ)さん 「お金の向こう研究所」代表。著書に『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』。現在は社会的金融教育家として活動中。
『クロワッサン』1165号より
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