台風で起こりうる4つのこと、どんな備えが必要?
イラストレーション・太田マリコ 構成&文・中條裕子
台風ではこんなことが起きる!
豪雨はもちろん、暴風にも対策を。
家に水が流れ込んだりひどい雨漏りがする。
台風はもちろん、短時間で非常に激しい雨が降る集中豪雨も頻発している昨今。大雨や暴風により、どんな危険が考えられるのだろうか。
「まず気を付けるべきは住宅への浸水です。河川の氾濫などで水害が発生する可能性が高い場合は、早めに避難したほうがいいでしょう」
と、国崎信江さん。戸建てであれば、レベルによって2階に避難すれば大丈夫な場合もあるので、どのくらいまで在宅での避難が可能か、前もって確認しておくことが大事。
「台風の際には、下から上がってくる浸水と、もう一つ被害になりやすいのが屋根の損傷による雨漏り。建物全体が雨漏りによって傷むと大きな補修費がかかります。住宅の災害補償をしてもらえる自然災害共済や、マンションの場合であれば家財保険だけでも入っておいたほうがいいでしょう」
汚水がキッチンのシンクの排水口からあふれてくる。
大きな川の氾濫と合わせ、市街地などで警戒しなければならないのが内水氾濫。雨量が多くなりすぎると、下水道や水路の排水能力が追いつかず、処理しきれない水が逆流してしまう。すると、市街地が水浸しになるだけでなく、家庭へも汚水が侵入してくることに。
「通常は下水処理場などへ流れるはずの下水が、水位が上がると逆流してきてしまう。すると、キッチンやトイレ、お風呂、洗濯機といった排水口から汚水がゴボゴボと噴き上げてきます。それを防ぐため、危険がある場合は45Lのゴミ袋を2〜3重にして水を半分ほど入れた簡易的な水のうを、排水口や便器内に置くようにして」
自動車がアンダーパスでハマってしまい動かない。
台風は気象予報である程度の予測がつくけれど、外出時に思いもよらず突然の大雨に遭遇することも。悪天候で車に乗っている際は、高低差のある道路の走行は要注意だ。
「大雨の予報があったら、水はけの悪いところやアンダーパスをまずは通らないようにしてください。もし突然の豪雨などで水没してしまったときのために、シートベルトカッターやハンマーを車内に用意しておくといいでしょう。何かあったときのために、車内から脱出できる準備をしておくことです」
モノが飛んできて窓ガラスが割れる。
台風が接近している予報があったらまず、戸建ての場合は雨戸を早めに閉めるのが鉄則。雨戸があることで、もし飛来物がぶつかっても損傷を最小限に抑えることができる。集合住宅では、ベランダに置いてあるものが飛んで窓ガラスに当たらないよう、片づけておくこと。自宅の窓に当たることはもちろん、それほど重いものでなくても強風により階下や道路に落ちて思わぬ被害をもたらす場合も。
「集合住宅は窓が強化ガラスであることが多く、尖ったものが当たるなど強い衝撃を受けると割れやすくなっています。車もサイドが強化ガラスになっているから、水没時に割って脱出することができる。シャッターがない窓には、飛散防止フィルムを貼るなどの対策を。とりあえずは窓のある部屋から離れるほうが安心でしょう」
どちらが正しい?
台風時の断水に備えて。
⚪︎ お風呂に水をためておく。
× 飲料水はあるので特に水はためない。
台風一過、後片づけをするのに水が必要でも、断水が続くことも。
「そんなときに用意しておくといいのは、風呂の残り湯。地震では揺れで配管が壊れると水が漏れ出すので浴槽に水をためるのは×ですが、台風時は後片づけ用にたくさん水を使うのでおすすめです」
台風時に外の水位が低い。
⚪︎ 避難所になるべく早く避難する。
× ちょっと様子を見てからにする。
避難は状況をきちんと観察しながら対処することが大切。
「水が徐々に上がる場合は腰まであっても避難できたり、逆に水流が激しいと踝(くるぶし)くらいで流されてしまうことも。水深が低くても流れが速い場合は、上階や近くの高い建物に避難させてもらうようにして」
『クロワッサン』1124号より