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心疾患の発見にも役立つスマートウォッチ、どう健康管理に取り入れる?

多機能でさまざまなシーンで活躍する、便利なスマートウォッチ。実は、健康が気になる世代にも心強い味方に!

イラストレーション・小林マキ 構成&文・中條裕子

「普段の体の状態を知って、健康のバロメーターにして。

<教えてくれたのは>滝村由香子さん
総合東京病院 循環器内科スマートウォッチ外来医長

年齢を重ねて増えてくるのが、ちょっとした不調。寝つきもよくないし、やっと眠りについても途中で目が覚めてしまう。電車に乗り遅れないようダッシュしただけでもう心臓がバクバクに。病院に行くほどではないと思うけど、いろいろ気になる……。

そんな際にはスマートウォッチを取り入れるのも有効。心拍数や一日の歩数も装着するだけでわかるし、睡眠に関しては覚醒や深度などの状態を計測できたりも。

「まずは、普段の脈の状態を知っておいてほしいです。成人の平均心拍数は70〜75くらい。個人差はありますが、安静時に常に100を超えている場合には注意が必要です。貧血や甲状腺の病気、不整脈、メンタルなどが関与している可能性が。徐脈の人も、30台は基本的に要注意。疲れやすかったり、心不全の原因となることも。スマートウォッチを着けていれば、アプリで心拍数の変動も見られるし、夜寝ている間も記録されます」
と、循環器科の医師で現在スマートウォッチ外来を担当する滝村由香子さん。患者さんの中には、自覚がなかったのにスマートウォッチで初めて脈の異常に気付き、診察に訪れて治療につながる場合もあるのだという。

心疾患の発見にも役立つスマートウォッチ、どう健康管理に取り入れる?

無自覚だった心疾患の発見につながることも。

「20代の男性がスマートウォッチで取った心電図の波形を見ていたら、脈が急に160になるというのに気付いたというので外来に来て。160は全力で走ってもならない数値。不整脈のうち、発作性上室性頻拍という病気だったのですが、通常は異常時の心電図がないとなかなか診断にならないんですよ。いつも動悸がしていても、検診の際たまたま正常だとそのまま通ってしまう。なので、常時身に着けているからこその、波形が取れる、脈が測れるということがとても大事なんです」

スマートウォッチの中には、こうした心電図が取れるタイプもあるので、脈の乱れが気になる場合はそれを活用することで、診療から治療へとよりスムーズに運ぶことがあるという。そうした自覚がない場合にも、普段から脈を意識しておくことは大切に。

「脈は生まれたときから動いているので、あまり意識していない人が多いんです。動悸には、脈が速くなる、バラバラになる、抜ける、大きく感じるなどがあります。大きく感じるだけの人はメンタルが原因のことが多く、検査しても不整脈が見つかることは少ない。抜ける、バラバラになる、全力で走ったかのように速く安静時に130を超えることがある、そんな場合には不整脈の可能性があります。一度、医師の診察を受けたほうがよいでしょう」

心拍数は人それぞれで、70〜75が平均とはいえ、60〜99までは正常範囲内とされる。が、脈の速さが気になるときには呼吸に気を付けると、数値が下がることがある、と滝村さん。

心疾患の発見にも役立つスマートウォッチ、どう健康管理に取り入れる?

呼吸法や運動習慣を見直すことも大切に。

「息を鼻から3秒で吸って口をすぼめて6秒で吐くと自律神経が整い、脈がゆっくりに。米国心臓リハビリテーションで導入されることもあるヨガの呼吸で、寝る前に10分ほどと推奨されていたのですが、私は患者さんにバスに乗っていたり歩いているときにもやってくださいと伝えていて。それで安静時の脈が85から10程度下がった人も」

自分の状態に気付き、ちょっとした習慣を見直すことで健康状態はよりよく変えることができるのだ。もう一つ、滝村さんがすすめるのが運動の習慣。

「ウォーキングでもよいので、運動をするよう日頃から心がけてください。何もしていないと、心臓も肺も運動耐容量が下がってしまう。そうすると、少し体を動かしただけで脈が速くなったり呼吸がすぐ上がってしまい、心臓に負担がかかることになります」

スマートウォッチなら、一日の歩数はもちろん、モデルによってウォーキングやランニング、ヨガなどさまざまなフィットネスをサポートしてくれる機能があり、運動習慣をつけるのにも役立つ。日頃の体の調子を把握して運動を心がけたい、そんな世代には、スマートウォッチは心強いパートナーに。

心疾患の発見にも役立つスマートウォッチ、どう健康管理に取り入れる?

「数ある中から、自分に合ったものをどう選んだらよい?」

<教えてくれたのは>
神津文人さん 

フリーライター

仕事柄、何本ものスマートウォッチを試着してきた神津文人さんは、気になったらまず身に着けてみることだという。

「健康管理のため一日中着けるのであれば、重さや大きさが大事。バンドも素材やフィット感がさまざまなので、できるだけストレスのないものを選ぶとよいでしょう。あとはリーズナブルなものから試してみるのもいいし、しっかりした値段のものをあえて購入し使いこなす努力をするのもありかと。いずれにせよ、スマートウォッチをしている身近な人に機能や使い方を聞くのが失敗しない早道に」

心疾患の発見にも役立つスマートウォッチ、どう健康管理に取り入れる?
  • 滝村由香子

    滝村由香子 さん (たきむら・ゆかこ)

    総合東京病院 循環器内科スマートウォッチ外来医長

    日本循環器学会認定専門医。日本不整脈心電図学会認定不整脈専門医。日本内科学会認定医。植え込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療研修修了証取得。

  • 神津文人

    神津文人 さん (こうづ・ふみひと)

    フリーライター

    モノ系雑誌編集者を経て、現在ヘルス&フィットネス、スポーツプロダクトの領域で、雑誌やWeb、書籍の仕事を手掛ける。

『クロワッサン』1115号より

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