洗いだれに割烹スタイルなど、京都らしさが味わえる焼き肉3。
撮影・青木和義 文・齋藤優子
京都らしさが味わえる焼き肉。
“肉好き京都人の奥義をカウンターで”
京都は街の大きさに対して、飲食店の数が半端ない。中でも肉! もともと多いのですが、最近は牛カツなど牛肉の専門店が増えている気がします。京都の肉もたくさん使っていますし、近江牛を出しているところも多い。
僕自身、夜遅くごはんを食べるとなると、必ず焼き肉がチョイスに入ってきます。実は、昔ながらの京都人は大の焼き肉好きで、“洗いだれ”や割烹スタイルなど、独特の文化を生み出してきました。
カウンターで楽しめるところが多いのも特徴なので、ひとりでも訪れやすいと思います。近年、京都でも流行りつつある薪焼きも、少人数で使える店ができてオススメです。
【岡崎】牛(ぎゅう)おおた
多彩な薬味で〝京都流“が楽しめる人気焼き肉店。
ハラミはたれ焼きにして〝洗いだれ〞で、ヘレ(ヒレ肉)は塩にして、ポン酢と大根おろしで。そんな京都流の焼き肉が享受できる国産和牛専門の焼き肉店だ。創業は1979年。
ヘレからホルモンまで質の高い肉を揃え、京都で焼き肉と言えばその名があがる人気店に。現在は2代目の太田聡さんが味を受け継ぐ。おまかせは、肉の脂とたれの味をすっきりさせる〝洗いだれ〞をはじめ、山わさび、大徳寺納豆の醤油漬けなど、部位ごとに出される多彩な薬味が楽しい。
「おまかせにすると、ヘレでもハラミでも1枚からいろいろ頼めるのがいい。スープや煮込みなど、肉だけでなく一品料理もすべておいしい」
牛おおた●京都市左京区浄土寺真如町164・9
TEL.075・751・7888
営業時間:17時~23時 月曜休
【京都駅】五燠堂(ごおうどう)
薪焼きの肉が少人数でも味わえる薪火酒場。
カウンターの向こう、薪火でチロチロと燻されている肉に飲食(おんじき)欲を刺激される。
開店前、薪焼き店を30軒以上回ったという奥良太マネージャーは、「単品でリーズナブルに楽しめる店にしたかった」と、あえて酒場に。水分を含んだ薪ならではの、中がしっとり外が香ばしくスモーキーに仕上がる肉類は、200gから注文可能。自社農園で採れる野菜の焼き物から薪焼きトマトのサワーなどドリンク類まで、オープン3カ月足らずながらメニューの幅を広げている。
「薪焼き料理は、大人数じゃないと楽しめない店が多いですが、ここは少人数でもOK。荒々しい、燻した肉の味と香りがたまりません」
五燠堂●京都市南区東九条西山王町8・1
TEL.075・691・5009
営業時間:17時~23時(料理22時LO) 木曜休
【祇園四条】祇園 肉割烹 安参(やっさん)
立地も店構えも接客も料理も、まるっと祇園が感じられる老舗。
法被スタイルの白衣に下駄にハチマキ。4代目の榊原善史さんは、和食の料理人のような出で立ちで板場に立つ。ここは、初代がテール煮込みという名物を創り、2代目が割烹スタイルの店に押し上げて、多くのアカデミアに愛された1948(昭和23)年創業の牛肉割烹だ。
タン刺しなど刺身3品から始まり、焼き物、煮物と、味の濃いものに続いていく流れ。メニューはなく少し不安になるが、そこは祇園の老舗。こなれた客あしらいで、気後れせずに楽しませてくれる。
「家族で営んでいて、立地も、店構えも、客あしらいも含めて、祇園らしさが味わえる店。ここのテール煮込みは京都でいちばん好きです」
祇園 肉割烹 安参●京都市東山区祇園町北側347
TEL.075・541・9666
営業時間:18時~22時30分 日曜、祝日休
『クロワッサン』1113号より