医師に教わる、息切れしない体になるための呼吸トレ。
そんな人は、息切れ予備軍の可能性が。今すぐ改善して、これからもどこまでも歩こう。
撮影・中島慶子(モデル)、中村ナリコ(奥仲さん) イラストレーション・鈴木衣津子 スタイリング・白男川清美 ヘア&メイク・遠藤芹菜 文・石飛カノ
浅くて速い「頻呼吸」に陥る人が増えている! よりよく生きるために改善を。
こんなことありませんか?
□ 友人と一緒に歩くと遅れる
□ シャンプーは億劫だ
□ 息を止めて20秒もたない
□ 常に猫背ぎみだ
□ 1分間に20回以上呼吸する
□ 疲れやすい
ちょっと動くとすぐに息切れしてしまう。その主な理由は肺の機能が低下して浅く速い呼吸が癖になっているせい。と言うのは呼吸器外科医の奥仲哲弥さん。
「コロナ禍のマスク生活で本来の鼻呼吸が口呼吸になり、充分に息を吐き切れない。また、在宅リモート作業で長時間前屈みの姿勢を取り続けることで胸郭が固まり、息を吸おうと思ってもうまく吸えない。こうしたことが原因で息を吐き切る前に次の呼吸をしてしまう。本来の呼吸数は1分間に15回前後が理想(吐く+吸うを1回として)ですが、20回を超えると頻呼吸と呼ばれます。これが息切れの正体です」
息を吸って酸素をカラダにたくさん取り入れても、その酸素が各組織に届けられなくては意味がない。実は酸素を組織に送り込むためには二酸化炭素が必要。頻呼吸の人は二酸化炭素を排出しすぎてしまい、適度な二酸化炭素が体内にないため息苦しさを感じるのだという。
「仲間と旅行に行って自分だけ息が切れて歩きのテンポが遅れてしまう、また前屈みの姿勢で髪をシャンプーで洗うと息苦しくなり途中で休んでしまう。女性の場合、こうしたことが頻呼吸になっているかどうかの目安です」
そのほかにも、左上のようなチェックにひとつでも当てはまったら頻呼吸に陥っている可能性あり。
「いい呼吸は6秒吐いて3秒で吸うという呼吸。吸うことより吐くことを意識して、吐き切れば空気は自然と入ってきます」
まずは、日常生活で深い呼吸を癖づけることからスタートを。
6秒吐いて3秒吸う。この深くゆっくりした呼吸を習慣づけることで息切れは改善できる。
「訓練というとハードルが高いので癖づけるというイメージです。僕は横断歩道を渡るときは息を吐きながら歩いています」(奥仲さん)
頻呼吸を放っておくと高血圧や肩こり、ストレス過多などさまざまな不調に繋がり、それがまた頻呼吸を促すという悪循環に陥ることも。
「ゆっくりした呼吸は自律神経を自分でコントロールできる唯一の方法です。肋骨の下にある横隔膜を動かして深い呼吸をすると、自律神経のうちの副交感神経が優位になってリラックスした状態を維持できます」
散歩、家事、買い物の途中で、深い呼吸を常に意識。まずは日常生活でできることから。
ウォーキングは大股で、 緩急のインターバルをつけて。
歩くときにはダラダラではなく緩急をつける。たとえば電信柱2本分は大股で速歩きをしたら、次の2本分は普通歩き。速歩きのときも呼吸のテンポは変えない。負荷をかけることで適度な二酸化炭素が保持され疲れにくいカラダになる!
家事のときはできるだけ爪先立ちで。
前屈みの姿勢を取り続けることで胸郭が固まることも、頻呼吸の原因に。フローリングの掃除をするとき、食器を洗うとき、洗濯物を干すときなど、家事の動作はできるだけ爪先立ちで行う。自然と背すじが伸びて胸郭も引き上がるはず。
コンビニのレジ待ちなどスキマ時間で深呼吸しよう。
コンビニのレジ待ち、信号待ち、電車待ちなど、何かを待っている時間は一日数十回あるはず。その待ち時間を利用して、6秒で息を吐いて3秒で吸う基本呼吸を繰り返す。副交感神経が優位になるのでレジ待ちのイライラ解消にも役立つ。
『クロワッサン』1104号より