坂井真紀さん、山本浩未さんと考える、私たちの肌に必要な美容力。
撮影・YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) スタイリング・伊藤信子 ヘア&メイク・山本浩未(steam) 構成&文・今井 恵
“今のお手入れで充分ですか?
山本浩未さん(以下、山本) 坂井さん、本当にお肌がキレイ。日頃のお手入れはどんな感じなんですか?
坂井真紀さん(以下、坂井) 洗顔後、化粧水、美容液、乳液かクリーム。それと毎日シートマスクをしています。
山本 きちんとやっていますね。
坂井 45歳を過ぎた頃、子どもの世話を優先して肌を放っておき、顔がガビガビになるのを体験し、やらねばと。
山本 お母さんは本当に大変よね。
坂井 山本さんはお仕事柄、やはりきちんとお手入れしているんですか?
山本 大したことはやっていないけど、一応やっています。私は55歳の時に「あ、(老化が)きたな」と感じ、避けていた美容液も使うようになりました。
坂井 それまでは使わずに?
山本 あまり効果を信じていなかったんです。でもやはり美容液は効果があると考えを改め、毎日使っています。
“お手入れは、いつ始めても 「遅い」ことはありません”
坂井 これから先、肌はどんどん老化すると思うんですが、今のスキンケアのままで大丈夫なんでしょうか?
山本 個人的見解ですが、“リアル大人”の肌に必要なお手入れは、1に保湿、2に落とすこと、3に血流だと思うんですね。保湿はわかりますよね? そして落とすとは、ただのクレンジングや洗顔じゃないんですよ。もっと攻めて落とす。つまり角質ケアなんです。
坂井 え! 実は友だちの女優さんから勧められ、40歳から月に1度、美容皮膚科でピーリングをしているんです。
山本 坂井さん、それ大正解! かなりの先手ケアですね。肌は加齢によって新陳代謝が衰え、きちんと洗顔しても落とし切れない角質が、肌表面に溜まり始めるんです。それはピーリングやスクラブなどで角質ケアをしないと落とせないし、化粧品の浸透を妨げるんですよ。
坂井 なるほど。たしかにピーリングすると肌がワントーン上がります。よかった。そして血行とは、やはりマッサージですか? 私、つい面倒で……。
山本 マッサージをやらなきゃ、と思うと面倒ですよね。でも坂井さんはきちんと美容液やクリームを毎日塗っているでしょう? それをただ塗るのではなく、血液やリンパの流れを意識して塗ればいいんです。そうするだけで血流が上がり、化粧品の効果が倍増するんですよ。
“自分の肌を丁寧に扱い、助けてくれるものに頼りましょう”
坂井 いつも5秒ぐらいでささっと塗って終わり。撮影が終わった後、ヘアメイクさんのお化粧品を借りて、保湿をするんですが「ほかのどの女優さんより塗るのが早いです」って言われて。それって褒められてないですよね(笑)。
山本 そうねえ(笑)。クリーム5点置きという言葉があるけれど、それよりクリームや乳液を人差し指から小指まで指全体になじませ、両手で顔の中央から外へと筋肉に沿ってやさしくのばしてみて。そしてここが肝心なんですが、塗り終わった手を耳の脇から首の胸鎖乳突筋をなでるように下ろし、最後に鎖骨に流すというやり方。
坂井 (一緒にやりながら)なるほど。
山本 あとアイクリームを塗る時も、ただ塗るんじゃなく、塗りながら軽く目のツボを押す。
坂井 今までの適当さをちょっと反省。
山本 塗り方を少し意識したり、軽く押すだけ。簡単でしょ。
坂井 習慣づけちゃえばいいんですね。
山本 そうそう。
坂井 今日、山本さんにメイクしていただきましたが、肌はどうでしたか?
山本 坂井さんの肌はとにかく薄い。透明感があってキレイなんだけど、その分、色ムラやゆるみが出やすいから、表面をなめらかに整えておくといいですね。月に一度ちゃんと角質ケアをしているから、そこにあともうひと押しすれば完璧じゃないかな。
坂井 もうひと押しとは?
山本 私が21世紀美容の一つと呼ぶ美顔器です。
坂井 充電したのに使っていない……。
山本 うふふふ。みんなそうなりがち。でもね、美顔器は人の手が届かないところに効果を出せるから、化粧品と併用すると肌が格段に変わるんですよ。
坂井 肌の奥深くを刺激してくれますものね。たしかにたるみは化粧品だけではなかなか……。でも毎日使わないとダメなんですよね?
山本 毎日使うものも、週に何度かというものもあります。でも何種類も使った経験からいうと、毎日、短時間使うタイプのほうが続けやすい。
“大人の肌に必要なのは清潔感と健康な印象”
坂井 私の性格上、わりと三日坊主になりやすいんです。コードを繋がなきゃとなると、ああ面倒とか……。
山本 充電してコードレスで1週間以上使えるものもあるし、半顔3分とか手軽なものがあるから、癖にしちゃえば難なくできます。私も飽きっぽいんですが、2週間連続で徹底ケアし、しばらく忘れて放っておくこともあるけど、やはりやらないよりはやったら肌は変わります。坂井さんは、まだ肌がそれほど深刻じゃないのかも。
坂井 でも気づいた時は遅いですよね。
山本 いつスタートしても「遅い」はないと思いますよ。
坂井 その言葉、勇気をいただけます。
山本 人間は生きている限り変われますから! 坂井さん、ふだんはノーメイクなんでしたっけ?
坂井 ずっとそうでしたが、年齢的に外出時はメイクしたほうがいいのかと。
山本 それも正解! 大人はノーメイクだと周りに心配をかけるんです。
坂井 心配とは?
山本 顔色を不健康に見せちゃうの。大人の顔に必要な色は白・黒・赤なんです。白は明るい肌色。大人になるとくすんで影ができるから、そこをほんの少し補正するといいんです。坂井さんみたいに薄い肌は、内側の青や赤といった血管の色を拾いがち。それを少し補正するだけで元気に見えますよ。
坂井 黒はアイラインですか?
山本 あと眉やマスカラも。年を重ねると縁がぼやけるから、これまた弱々しく見せてしまう。坂井さんが外出時にマスカラをつけるというのはとてもいいことですね。眉毛はしっかり生えているから、ブラシで整える程度で充分。
坂井 赤はリップやチークですか?
山本 そう、つまり血色なんです。若い頃って唇が明るいじゃないですか? でも大人は口紅を塗らないと、血色感が足りなくなりがちです。
坂井 なるほど。勉強になります。しっかりフルメイクをしなくても、そこを意識するだけでナチュラルなまま、キレイになれるんですね。
山本 あとメイク後は10倍鏡で確認。
坂井 あ、持っています。大事ですね。
山本 えらい! ちゃんとわかっている。シワやたるみがある分、メイクの粉だまりができたり、アイカラーもよれがちで、それって清潔感を損なうんです。だから必ずチェックして、そこは指先でもいいから補正して。
坂井 スキンケアもメイクもやる気が出てきました。
山本 どれかひとつずつでもいいから、無理せず、楽しみながらやってみてね。
『クロワッサン』1106号より