言葉のとおり、どの物語も説明し尽くされぬままに終わりを迎えて、あとに不思議な読み心地が残る。
中には、最終戦争のあとに荒廃した、ディストピアのような世界も多く描かれるが、そこに登場する人物たちは実に多様な姿をしているのもまた印象深い。国だけでなく星すら超えて、それでも悲しみ、切なさ、恐怖や小さな喜びを、そこにいる人物たちと共に感じるのだ。それは、自身が生来、多様性が好きだからかもしれない、と深緑さんは笑う。
「物心ついた時から、いろんな人がいるのが好き。意識してなくても登場人物がさまざまな属性、立場の人だったりするのが、私にとって普通のことだったりするんですよね。生き物もあらゆるものが存在していて、理想を言えばみんなが幸福だといいなと思っているけど、それが崩れることがあるから滅びの話を書いたりするのかな、と。希望と絶望が両方あるみたいな感じですかね。それでもみんながいるほうがいいと思っています」