葛のとろみでのどはしっとり、豚肉と白菜の葛スープ【呼吸器をうるおす健康レシピ】
そこで、体を内側からうるおしてくれる食材を使ったレシピを紹介します。
撮影・岩本慶三 文・山下孝子
葛のとろみで のどはしっとり体はポカポカ!
疲労回復の働きを持つビタミンB1が豊富な豚肉と白菜のスープは、それだけで体を温めてくれますが、さらに葛粉でとろみをつければ、最後まで温かいスープを楽しめます。
このレシピのポイントは、片栗粉ではなく葛粉を使う点。風邪のひき始めによく飲まれている漢方薬の「葛根湯(かっこんとう)」が葛の根から作られていることからもわかるように、葛には体を温める働きがあり、さらにそのとろみがのどの粘膜を守ってくれるため、日本では昔から風邪でのどが腫れたときに葛湯を飲んできました。
さらに、大豆にも含まれているイソフラボンやサポニンが豊富で、更年期を迎えた女性にとっても理想的な食材です。
ただし、市販されている葛粉にはデンプンの粉を混ぜているものもありますので、購入の際は表示をよく読んで注意しましょう。
豚肉と白菜の葛スープ
【材料】2人分
豚肩ロース薄切り …… 100g
白菜 …… 100g
きくらげ(乾) …… 3g
しょうが …… 1片(10g)
鶏がらスープの素 …… 小さじ2
水 …… 2カップ
醤油 …… 大さじ1/2
葛粉 …… 大さじ1
こしょう …… 少々
ごま油 …… 少々
【作り方】
1.白菜はざく切りにし、きくらげはぬるま湯で戻して石突きを取り除き、一口大に切る。しょうがは千切りにする。
2.鍋に白菜の芯、豚肉、きくらげ、しょうが、白菜の葉の順に重ね、水と鶏がらスープの素を入れ、蓋をして中火で10分ほど煮る。
3.醤油、こしょうで味を調え、葛粉を倍量の水で溶いたものでとろみをつけ、ごま油を回しかける。
漢方の発想でうるおいを与える、白い食材とスパイス。
白い食材
スパイス
毎日の食事によって体の乾燥と冷えを防ぐ。
中国で誕生した薬膳の世界では、季節によって食べるべきものの色が決まっており、乾燥がひどくなる冬に備えて肺や鼻などの呼吸器にうるおいを与えるために、秋は「白い食材」を食べることが推奨されています。肺や鼻がうるおえば、消化器官である大腸の調子も整うと考えられており、腹式呼吸が内臓によい刺激を与え便通を促すため、確かにうなずけます。
このページで紹介している食材のほかには、豆乳、れんこん、白ごま、いか、百合根、さらに意外ですが豚肉などが白い食材です。
日本の夏は湿度が高いものの、熱中症予防のために一日中冷房をつけっぱなしが一般的になり、夏から体の内側と外側の乾燥が始まっている人も少なくありません。冬も暖房をかけるため、秋だけでなく冬の間も意識して白い食材を食べるようにしましょう。
さらに、白い食材に抗酸化作用や新陳代謝を促すスパイスを組み合わせてあげれば、冬の乾燥に対する備えは万全です。
『Dr.クロワッサン 感染症に負けない、カラダをつくる。』(2020年11月30日発行)より。