免疫細胞の約7割が集中しているとされる腸。腸内環境が悪化すれば、便秘だけでなく免疫力の低下など、全身の不調に大きく関わってくる。
腸内環境を乱す原因は、生活習慣の変化や運動不足、ストレスなど様々。 最近では、リモート生活の弊害で「リモート便秘」なる新語(下記参照)も 生まれるほど、腸内環境は私たちの心身の状態から多くの影響を受け、日々変化しているものなのだ。
「個々人の生活を顧みて、腸を悪くする様々な原因を減らしていくのが大切ですが、誰にでもできて、腸内環境改善の効果を期待されるのが、食事で積極的に食物繊維を摂ることです」(消化器内科医・大竹真一郎さん)
便通だけでなく腸内細菌叢(そう)を改善し、 血糖値の上昇の抑制など、様々な生理効果が認められる食物繊維だが、日本人の摂取量は近年減少傾向にある。
「食物繊維の摂取量をただ増やせばいいというわけではなく、不溶性と水溶性の2種類の食物繊維をバランス良く摂ることが大事。不溶性には便のかさを増し、排便を促進する働きがあり、水溶性は便を柔らかくし、腸内細菌の善玉菌のエサとなり、腸と体に必要な短鎖脂肪酸を作るもとにもなるのです」
そこで注目したいのが2つの食物繊維をバランス良く含む食品。海藻、大麦などの雑穀、各種野菜やグリーンキウイなどだ。特にキウイは食物繊維以外の栄養成分にも恵まれ、1日4個を食べ続けたら便秘が改善するという研究結果も報告されている。さらにキウイと一緒に、善玉菌を含むヨーグルトなどの発酵食品、オレイン酸豊富なオリーブオイルなどを摂れば、腸の健康効果は上がる。そこで下記では、 キウイを使ったレシピを紹介。日々の食事のバランスを見直しながら、上手に取り入れてほしい。
大竹真一郎(おおたけ しんいちろう)さん●消化器内科医・「おおたけ消化器内科 クリニック」院長、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医。これまで1万例以上の内視鏡検査を実施。