朝昼晩、毎日無理なくできる、腸活ライフと7つのエクササイズ。
その秘訣を、日本体育大学教授の須永美歌子さんに教わります。
イラストレーション・植松しんこ 文・倉石綾子
自律神経が司る腸は、自分の思いどおりに動かすことができない。
「腸の蠕動運動が活発になるのは、リラックス時に働く副交感神経が優位になるとき。
交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われないと腸の働きが低下し、さまざまな不調を引き起こします。
そこで自律神経に働きかけるアクションを日々の習慣に。目覚めに太陽の光を浴びて体内時計をリセットする、寝る前にリラックスポーズを実践して副交感神経を優位にする、などを取り入れて」
それと同時に、物理的な刺激も加えよう。
更年期はホルモンバランスの乱れから慢性的な便秘になりがちだが、マッサージや手軽なエクササイズを取り入れれば便秘解消を期待できる。
また、ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、腸を刺激して動きを活発にするばかりか、腸内の有用菌を増やす効果も認められている。
「起きる、食べる、動く、休むというメリハリをつけることも腸活につながります。テレワークなどで生活リズムが崩れやすい今こそ、意識して」
【朝】布団でできる腸ひねり体操を行う。
腹直筋や外腹斜筋を刺激して腸の蠕動運動を促す簡単なストレッチ。布団の中で寝たまま行えるので、毎朝の習慣に。
あおむけに寝て、両足を揃えて膝を立てる。ゆっくり息を吐きながら両膝をゆっくりと左に倒す。この時、膝を倒したのと反対側の肩が浮かないように注意。ゆっくり息を吸いながら膝を元の位置に戻す。反対側も同じように繰り返す。
カーテンをあけて太陽の光を浴びる。
朝の太陽の光には、脳の視床下部にある体内時計をリセットしてサーカディアンリズムを整える働きが。起床時に体内時計を整えると、夜の入眠もスムーズに。
目覚めの1杯の水を飲む。
水分は腸の蠕動運動を活発にする。目覚めに水を飲むことで胃が刺激され、大腸に蠕動運動を行うよう、信号が送られる。
朝食を取る。
朝食は腸への刺激となり排便を促してくれる。また絶食時間が長くなると、栄養素の吸収と免疫機能に関わる小腸の絨毛(じゅうもう)が少なくなってしまう。朝食を習慣づけて腸内環境の改善を。
【昼】家事の合間につま先立ちエクササイズ。
腹部を刺激するエクササイズは、腹筋や骨盤底筋など便を押し出す筋肉を鍛えるので、便秘解消に効果的。毎日の家事や通勤の合間に。
壁などに手をつく。腹部を凹ませてつま先立ちになる。お尻を締めるよう意識しながら、つま先立ちの状態を1分キープ。
腸マッサージでおなかを刺激する。
皮膚の上からもみほぐしたり、マッサージしたり、ダイレクトに腸に働きかけを。食後2時間以上あけて行うこと。
へその周りで大きく"の"の字を書くように、時計回りにマッサージ。大腸から肛門へ、腸内の動きをイメージしながら行う。
適宜、水分を補給する。
喉の渇きを覚えたときには、すでに体内は脱水症状に陥っている。喉が渇く前に、数回に分けて一日に1.5リットル以上の水分を摂取すること。
近所のスーパーへおつかいがてら、ウォーキング。
全身を使う有酸素運動は血液の循環を促し、腸の働きを活発にしてくれる。30分程度を目安に、軽く汗をかくペースでウォーキングを。気分転換にも最適。
背筋を伸ばして軽く胸を張る。呼吸を意識しながら、歩幅を一足長ほど広く取り、早歩きくらいのペースで歩く。
【夜】夕食では腸の栄養源となるグルタミンを摂取。
肉、魚、卵、大豆などに含まれるアミノ酸の一種・グルタミンは、腸粘膜や免疫細胞のエネルギー源となる。食事で積極的に取り入れよう。
食後、テレビを見ながら腹筋を鍛える。
排便の際に使われる腹直筋は加齢によって衰えるといわれている。テレビを見ながらの「ながら」エクササイズで腹直筋を鍛え、便秘解消を目指そう。
あおむけに寝て、足は幅を少しあけて両膝を立てる。両手は腹部に置いておく。へそを覗き込むようにゆっくりと上体を起こす。この時、手で腹筋が硬くなっていることを確認する。腹部に力を入れた状態で10秒キープ。ゆっくりと上体を下ろして戻す。これを5~10回繰り返す。
入浴後、ヨガのポーズでリラックス。
リラクゼーション効果のあるヨガのポーズで副交感神経を優位にし、スムーズな入眠と腸の活性化を。
1.手と膝を肩幅に開いて床につける。ゆっくり息を吸いながら目線を上げ、背中を反らす。
2.ゆっくり息を吐きながら背中を丸め、呼吸しながら30秒キープ。
寝る前にベッドで 快便のためのエクササイズ。
一日の最後に、寝る前の体操を。腸をやさしく刺激しつつ、明日の朝の快便を促すヨガのポーズを行う。
あおむけに寝て、息を吸いながら片方の膝を胸の上で抱える。息を吐きながら、太ももをお腹に押しつけ、ゆっくりと5呼吸。息を吸いながら、
膝をゆっくり元に戻す。反対側も同じように行う。
『クロワッサン』1047号より