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女性ホルモンを増やす食材やレシピがあれば教えてください。【88歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. 女性ホルモンを増やす食材やレシピがあれば教えてください。

今までとくに体調に問題がなく過ごしてきたのですが、40代後半に入ってから、だんだん疲れやすくなってきています。年齢的にも、これが更年期の症状と思います。ネットを見ると、「女性ホルモンを増やすレシピ」などの情報を目にしますが、本当に食事でホルモン量を増やすことができるのでしょうか。また、野末先生が実践なさっている食事法があれば、教えてください。(F・Rさん 47歳 会社員)

A. エストロゲンの分泌を促す食材はありません。

野末悦子さん 産婦人科医師
野末悦子さん 産婦人科医師

F・Rさんがおっしゃっている「女性ホルモン」とは、きっとエストロゲンのことを指していると思います。はっきりお伝えしますね。

エストロゲンそのものを増やす食材や料理はありません。よく言われる大豆製品には、大豆イソフラボンにエストロゲンに似た働きがありますが、あくまで食べものであって、薬の効果などとはまったく違うものです。9種類の「必須アミノ酸」をバランスよく含んでいる良質な植物性タンパク質として摂取することをおすすめします。

もし、大豆イソフラボンのサプリメントを摂るときは、自社でデータをとっているしっかりしたメーカーのものを選ぶようにしましょう。

私が注目して、長く摂っている食材もあります。それは、「ホエイ(乳清)」です。ヨーグルトの上澄みなので、捨ててしまう人も多いのですが、もったいない。良質なタンパク質であるホエイは、免疫力を強化し、疲労回復、筋力アップにも優れています。閉経後の骨対策にもなるので、更年期以降のエイジング対策にとても有効です。

また、体内で女性ホルモンの材料となるのは、コレステロールです。代謝が落ちる更年期ですが、痩せにくくなったからといって、極端な油抜きダイエットは厳禁です。

F・Rさんは、まだ深刻な症状は出ていないようですが、もし日常生活に支障が出るような場合は、婦人科での治療も検討しましょう。閉経後は生活習慣病のリスクも上がってきます。ちょっとした不調や不具合があったとき、自分のカラダをよく知るかかりつけ医にすぐ相談できるようにしておくと安心です。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

野末流7つの健康法

【1】 1日1杯の味噌汁

豆腐、納豆、油揚げ、厚揚げ、湯葉……味噌汁に大豆製品を入れます。自家製ヨーグルトを作っているので、味噌汁にホエイを加えて、高タンパク食にしています。

【2】出汁をしっかりとる

かつお節、昆布、煮干し。どんな出汁でも、しっかりとります。旨みがアップするので、味噌汁や煮物などの塩分を控えることができます。

【3】適度な健啖家を目指す

「食欲がない状態」は、好ましくありません。食べすぎはよくないけれど、適度に「食欲がある」ことは大事。自分の食事内容に疑問があれば、栄養士のカウンセリングを受けても。

【4】食後の舌ブラシ

朝晩、歯を磨いたあとに、舌ブラシを使って舌苔を掃除しています。歯周病菌は、肺炎、心臓病、腎臓病、脳血管障害などの原因になります。

【5】5本指ソックス

足指ごとに温めることで、足の血流がよくなります。5本指ソックスは何年も愛用していますが、夏場でも、冷えはなく、汗はしっかりとってくれます。

【6】下半身を鍛える

エコノミー症候群を避けるためにも、よく歩き、また足指、足裏をマッサージしたり、鍛えたりしましょう。少しずつでも続けることが大事です。

【7】乳がんのセルフチェック

婦人科系がんで、乳がんのみセルフチェックが有効です。
毎日、入浴のときに行ってください。とくに40代以降は注意が必要です。

良質のタンパク質を中心に、バランスのとれた食事がベスト。(Dr.野末)

女性ホルモンを増やす食材やレシピがあれば教えてください。【88歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

野末悦子(のずえ・えつこ)さん●産婦人科医師。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、久地診療所初代所長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などを歴任。

『クロワッサン』1029号より

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