シミや穴のせいで諦めていた衣類に少し手を加えるだけで、素敵によみがえると評判のダーニング。もともとはヨーロッパに伝わるかけはぎの技法。それをあえてカラフルな糸を使って仕上げる新解釈が広まるや、ここ数年で一大ムーブメントに。「誰しも肌になじんだ服や思い出のある服は長く着続けたいという願いがありますから」と話すのは、現代ダーニングを日本に紹介したテキスタイルデザイナーの野口光さん。
野口さんが主催するワークショップには、長年着込んだニット、家族が遺したカシミアのセーターなど、少々難はあるけれど、捨てるに忍びない衣類を抱えた人たちが駆け込んでくる。「ダーニングをすることで、また気持ちよく着られるようになる。すると皆さん『捨てなければ』という重圧から解放されて笑顔になるんです」。何よりそれが「家庭科の延長くらいの技術」でできてしまうのが魅力。それなら私にもできるかも……ということで、本誌ライター・松本が野口さんのお宅でダーニング入門編に挑戦してきました。